ブレーキなし自転車の販売規制って何?――都条例が7月1日施行、標的は「ピスト」
東京都は、7月1日に施行する「自転車安全利用条例」によって、ブレーキのない自転車の一般販売を禁止します。競技用自転車「ピストバイク」が標的とも言われています。若者を中心に人気を集めた自転車がなぜ禁じられたのか、これまでの経緯を振り返ります。 ピストバイクはもともとトラック競技用の自転車です。変速ギアがなく、一般的な自転車のようなブレーキが付いていないタイプがよく知られています。そのため減速するときはペダルを逆回しにするなど、独特の操作が必要になります。道路交通法では、事故の危険があるとしてブレーキのない自転車の公道走行を禁じており、ブレーキなしのピストバイクも取り締まりの対象でした。しかし、販売者側を規制する法律や条令はなく、事実上は誰もが購入し、街中で乗れる状態だったのです。
お笑いタレントの摘発も話題に
そのシンプルなデザインや壊れにくさ、また海外発のストリートカルチャーとして紹介されたことから、ピストバイクの利用者は年々増加していきました。それにつれて摘発数も急増し、警視庁によると摘発数は2009年は2件、2010年は661件、2011年は1023件に上りました(毎日新聞2013年1月12日)。2011年には、お笑いコンビ「チュートリアル」の福田充徳さんが摘発されたことが話題となりました。重大事故も多発したことから、警視庁は2012年に「自転車総合対策推進計画」を実施、ピストバイク利用者の取り締まりを強化しています。 今回の自転車安全利用条例は、販売者を規制することで、ブレーキなしピストバイクの取り締まりをさらに徹底するものです。自転車安全利用条例には次のように記されています。 第二十三条 (違法な利用となる自転車の販売等の禁止) 自転車小売業者は、自転車の利用が道路交通法その他の自転車の交通又は安全性に関する法令の規定に違反することとなることを知って自転車を販売してはならない。
愛好者から反発も
ブレーキの付いたピストバイクは規制対象にはなりませんが、ピストバイク愛好者からは反発の声も挙がっています。「足を止めれば車輪の回転も止まる。普通の自転車と同じようなブレーキを取り付けることもできる。ピストバイク=ノーブレーキで危険という印象を植え付けないでほしい」。一方で、「ブレーキを付けて販売されたものを、ブレーキを取り外して使う利用者も現れる。ノーブレーキのピストバイクを完全に規制できるわけではない」という声もあります。