日本最大級の商業リゾートは何が楽しい? 「72種類の薬草湯」から松阪牛まで堪能できる「ヴィソン」の魅力とは
●自然の恵みをそのままに 地域と歩む日本最大級のリゾート施設
秋の行楽シーズンに、家族や友人での旅行を検討している人も多いでしょう。 三重県は伊勢神宮や熊野古道など、歴史ある観光地に恵まれているため、旅先の候補に入れている人も多いかもしれません。 【画像】食にホテルに温泉に、楽しみ方満載なヴィソンを画像で見る(30枚) そんな三重県に、実は日本最大級のリゾート施設があることをご存知でしょうか。 「VISON(ヴィソン)」は三重県多気町にある大型リゾート施設です。自然に囲まれた中、昔ながらの伝統食材や、オーガニック農園、地域の食材を生かした飲食店など、約70店舗が集まる施設となっています。
2021年にオープンした比較的新しい施設で、敷地面積は東京ドーム24個分。開放感のある広大な土地で、ゆったりとしたひとときを過ごせます。 そんなヴィソンのコンセプトは、「いのちを喜ばせよう」。 このコンセプトの背景について、ヴィソンの担当者は次のように話しています。 「VISONにはお酒やお漬物、味噌、醤油など、伝統的な製法を守り続けている蔵があります。しかし現在は真空パックやインスタント加工、添加物が入ったものなどが普及し、簡易的に摂取できるものに取って代わられていきました。 伝統が薄れつつある今だからこそ、VISONではこうした日本の伝統的な発酵食品を継承し、次の世代へ残していくべきだと考え、このコンセプトが生まれました」 また、三重の山海の幸が楽しめる「マルシェ ヴィソン」では、こだわりの農産物のほかに、地元松阪牛の生産者による精肉店、伊勢志摩から直送される伊勢海老や鮑といった旬の魚介など、自らの生産物をPRできる場ともなっています。 地域の産業を生かし、昔ながらの伝統文化を大事にしているヴィソンですが、どのような経緯で設立されたのでしょうか。 前出の担当者は次のように話しています。 「設立のきっかけとなったのは、同じ三重県の菰野町にある『アクアイグニス』という食と癒しのリゾート施設です。アクアイグニスは、世界的パティシエの辻󠄀口博啓さんや日本料理の笠原将弘さんなど、有名パティシエやシェフに関わっていただき、建物もデザイン性にこだわった施設です。 このアクアイグニスのオープンにより、町としての観光客がこれまで80万人ほどだったのが200万人にまで増加し、成功事例としてさまざまな自治体から注目されるようになりました。 そうしたなかで、多気町にも同じような施設を作れないかと町長からの打診があり、ヴィソンのプロジェクトが開始しました」 多気町は薬草にゆかりのある土地です。そこで、薬草を生かしつつ、食も掛け合わせた地域活性につながるような施設を作りたいという想いからヴィソンの構想が練られていったようです。 まさにヴィソンの中核的な施設となっているのが、薬草湯が楽しめる「本草湯」です。薬草湯はロート製薬と三重大学が共同してレシピを開発し、七十二候という季節を表した暦に準え、1年を通して72種類のお湯が楽しめます。 5日毎にレシピが変わるため、年間を通して様々な薬草の湯を堪能できます。 使用している薬草には塩やわかめなども含まれており、まさに海が近い三重ならではのお湯であると言えます。 また、土地を生かした建物のデザインもヴィソンの注目すべきポイントです。 ヴィソンは元々山だったところに建てられましたが、山を崩して平らにするのではなく、自然の景観をのこすためにあえて山の斜面を生かして建物が作られています。 そのため、お店などもひとつの場所に密集するのではなく、山の形に沿って点在しています。自然の景観を眺めながら散歩がてら移動を行うのも、ヴィソンならではの楽しみ方です。 また、現在、実証実験として自動運転のバスが施設内を走行しているとのこと。創立時からモビリティ専用道路が作られていて、今は検証段階として車内にオペレーターはいるものの、実際には運転しておらず、自動走行しているようです。 多気町は、人口減少などを背景に既存の公共交通の維持が難しくなる中、誰もが利用できる持続可能な移動手段として、自動運転を活用した新たな公共交通を実現させるために積極的に取り組んでいます。 自動運転サービスを安全・安心な移動手段および観光振興に活用できるかどうかを検証し、「VISON」で国内初となる公道での「MiCa」の自動運転レベル4の運行を目指す他、将来の多気町内での自動運転サービスの展開を検討しています。 これは多気町が人口減少などを背景に既存の公共交通の維持が難しくなる中、誰もが利用できる持続可能な移動手段として、新たな公共交通を実現させるために取り組んでいる事業で、将来は多気町内での運行をめざしているとのことです。