福島第1原発廃炉へ「大きなターニングポイントの年」 東電社長が年頭訓示
東京電力の小早川智明社長は6日、福島第1原発で社員約240人を前に年頭訓示を行い、事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)について「今年はデブリの本格的な取り出しに向けた工法の具体化など、大きなターニングポイントの年だ」と述べ、着実な廃炉作業への決意を示した。 小早川社長は廃炉作業で協力企業に依存する体質があり、人為トラブルが続いているとし「現場での立場を超えた信頼関係、協働体制を構築する年になる。ワンチームをキーワードに(廃炉に)取り組む」と語った。作業では「全員で同じ目的の共有」「信頼を基盤にした仲間意識」「安全で効率的な業務遂行」の三つを重視するよう求めた。その上で「協力企業という呼び方も立場の違いを暗示するので、やめたいと思う」と話した。 昨年から第1原発2号機でデブリの試験的取り出し作業が行われるなど、今後も高線量下での廃炉作業が続くことに触れ「地元と信頼関係を強化し、地域の復興・発展につなげる」とした。 福島復興本社の秋本展秀代表も年頭訓示し「信頼をつくるには対話を重ね、互いの関係の質を高めることが重要だ」とした。小林喜光会長はオンラインで「廃炉作業で蓄積される技術やノウハウは世界的にも極めて貴重で、事業に携わることはエネルギーの未来を切り開くことにつながる」と語った。
安全着実な作業求める
東京電力の小早川智明社長は6日、年頭あいさつのため福島県の大熊、双葉、富岡、楢葉、広野、浪江の6町の役場を訪問した。各首長は福島第1原発の安全で着実な廃炉作業の実施や管理体制の強化などを求めた。 大熊町と双葉町は、原発事故の被害実態に即した損害賠償の実施なども求める要求書を小早川社長に提出した。このうち双葉町では、福島第1原発2号機の溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的取り出しを巡り、昨年に作業員のミスや装置の不具合などで作業が一時中断したことを受けて伊沢史朗町長が「ヒューマンエラーに起因するもので、町民や避難する住民に不安と不信を与えた」と指摘。「安全かつ着実に廃炉を進め、一日も早い被災地域の復興に向けて尽力してもらいたい」と述べた。
福島民友新聞社