「新型コロナ渦で経営破綻クラブを出すな!」Jリーグが財務サポート策を準備している理由とは?
まずは各種分配金の前倒し支給だ。 J1クラブへ3億5000万円、J2へ1億5000万円、J3へ3000万円が支給される均等配分金をはじめ、放映権料や商品化権料などさまざまな配分金が年間に3度から4度に分けられて振り込まれている状況を、必要なクラブには年度はじめに一括で支給する。 さらに今シーズンから新たに導入されていた「ファン指標分配金」を抜本的に見直す。ライブ配信を行うDAZN(ダ・ゾーン)の視聴実績をクラブごとに数値化し、原資として用意した5億円から分配する計画を一時停止。新型コロナウイルス対策への資金にあてる準備も整えた。 政府が認定する激甚災害によってクラブが被害を受けたときに適用される、大規模災害補填規定も柔軟に運用していく。チェアマン判断で開催前日に延期を決めた、先月26日のYBCルヴァンカップ予選リーグ第2節に関しては「自然災害に準じる」として、発生していた経費をJリーグが補填した。 Jリーグでは2005シーズンから「公式試合安定開催基金」が制度化され、現状で10億円の準備金がある。経営難によって公式戦の参加及び継続が困難になったJクラブへ、審議のうえで融資する制度の適用も視野に入れていきたいと村井チェアマンは青写真を描く。 「リーグとしても財務的な備えがあるので、クラブがひとつ、ふたつ本当に苦しいときがあっても、全体で支えていこう、ということは申し合わせています」 プロジェクトチームを介して緊密な連携を図り、財務をギリギリの状態で回しているクラブへのサポート体制を特に厚くしながら、Jリーグでは19日に中間ミーティングを開催。スタジアムに集客できる状況が整いつつあるのかを確認したうえで、目標通りに4月3日から再開できるかどうかの判断を25日に下せればと、村井チェアマンは今後への青写真を描いている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)