抵抗する被害者の後頭部に、「モンキーレンチ」をフルスイング…法廷で涙を流した「実行犯リーダー(23)」が明かす「ルフィ事件」の非道
自分なりの償い
事件当時、永田被告は〈強盗は5年で刑務所から出てこれる〉と思っていたという。逮捕後に、自身が犯した強盗致死の量刑相場(=無期刑または死刑)を知り〈長くブチ込まれるなら死んだほうがいい〉と死刑を目指すことを考え、取り調べにもまともに応じず、移送の際は報道カメラに向かって笑いながら中指を立てるなどしていた。 ところが、取り調べでの各事件の捜査員との対話の中で、心境に変化が訪れたと語る。この広島事件の取り調べでは捜査員から〈法廷でもそんな態度で臨むのは被害者や遺族のためにならんぞ〉と諭されたことを明かし「正直、人を殺した僕は人じゃない。そんな最低な人間に、なんでこんなに優しく……と感謝してます」と声を詰まらせ振り返った。 かつて躊躇なく悪事に手を染め続けた永田被告は、拘置所で被害者遺族の心情に関する書籍をはじめ、読書に没頭したという。現在、自分なりの“償い”を考え続けているようだ。無期懲役求刑後、最終陳述で泣きながら言った。 「裁判は加害者の人権を重視しすぎてます。ですが、被害者やご遺族の気持ちを汲んだ上で、極刑を下してください。心より申し上げます」 判決は11月7日に言い渡される予定だ。 【前編】では、広島事件で家人が発した必死の叫びと、永田らの無軌道な犯行ぶりを詳報している。 高橋ユキ(たかはし・ゆき) ノンフィクションライター。福岡県出身。2006年『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』でデビュー。裁判傍聴を中心に事件記事を執筆。著書に『木嶋佳苗劇場』(共著)、『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』、『逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白』など。 デイリー新潮編集部
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