無断欠勤や迷惑行為、依存、違法行為まで……人生を失う!? 適応障害にひそむ落とし穴とは
アルコールや薬物、近年ではインターネットゲームへの「依存」
ストレスをまぎらわせるために、あるいは落ち込んだ気分を楽にするために、薬物やアルコール、インターネットの世界に逃げ込むのは、よい解決法ではありません。覚醒剤や大麻などの薬物は、使用じたいが違法行為です。 アルコールには依存症という問題があります。飲酒時の気分が忘れられなくて、仕事や学業などすべてを放置して酒を飲みます。近年ではインターネットゲームへの依存も広がっています。依存症になると、身体的にも社会的にも影響を及ぼし、ひきこもり、犯罪など、より深刻な問題に発展しかねません。 【知らず知らず深刻化を進める依存症】 ●アルコール 飲酒によって起こる問題をまとめてアルコール関連問題といい、なかでもアルコール依存症は重大です。飲む量と時間のコントロールができず、常に一定濃度のアルコールを体に維持しておくため、連続して飲酒する状態になります。家族、自分の健康、社会的な地位など、あらゆる大切なものを失う結果につながります。 ●向精神薬 精神疾患に使う薬のなかには、気分を安定させたり、うつを軽減させる作用をもつものがあります。ハイな気分になりたくて、必要以上に飲んだり、薬物治療の必要がないのに飲んでしまいます。 ●違法薬物 覚醒剤、麻薬(コカイン、アヘン、ヘロイン、LSD、MDMA など)は所持するだけで違法、1 回使っても「乱用」になります。依存しやすく治療は困難で、一度異常になった神経は半永久的に戻りません。専門の治療が必要です。近年は、危険ドラッグの吸引という問題も起きています。 ●インターネットゲーム ネットゲームに夢中になり、やりつづけて自分をコントロールできません。ゲームのほか、ブログ、動画、SNS に依存する人もいます。とくに青少年に多く、学業、健康など日常生活全般に支障をきたします。
不眠をはじめ吐き気、息苦しさなどの「身体愁訴」
適応障害では、精神的な症状だけでなく、以下のように身体的な症状も現れます。ただし、心身症とは異なり、体に器質的な異状があるわけではありません。 偏頭痛、頭が重い、耳鳴り、目の疲れ、声が出ない、話せない、ため息、息切れ、動悸、首や肩のこり、背中のこり、胃腸の不調、吐き気、嘔吐、腹痛、便秘、下痢、残尿感、尿が近い、足のしびれ、冷え、痛み、歩けない、だるい、食欲不振、性欲減退、睡眠障害、めまい、微熱……。 人によってさまざまな不調を訴えますが、もっとも多い訴えは睡眠障害です。虚脱感があってだるいのに神経が高ぶって眠れない、イライラして眠れないなど、不安や抑うつが睡眠障害の背景にあります。 こうした身体的な不調は、もとのストレスを解決しないと、ずっと続くことになります。体調不良があると、ますます出社や登校が困難になり、そのことで、適応障害が進むという悪循環に陥ってしまいます。 【睡眠障害の起こりかた】 ●体内リズムとは 人間は自然のリズムに合った「体内時計」をもっている。体内時計の周期は24時間以上。リセットする刺激は、食事、運動、仕事などいくつかあるが、もっとも重要なのが光。朝日を浴びることで体内時計がりセットされる。 ●夜型が進むと…… 暗くなってから光を浴びると、体内時計がズレてしまう。夜遅くまでパソコンやテレビの画面を見たりすることや、明るすぎる照明に注意。夜型生活の原因になる。 ●睡眠のリズムが乱れる 睡眠時間は人によって違う。一般的には6~7時間。年齢に伴って短めになっていく。しかし、体内リズムが乱れると、眠りのリズムに影響が及ぶ。睡眠障害には主に以下の4タイプがある。 ・過眠いくら寝ても足りない。非定型うつ病で多いタイプ ・早朝覚醒早朝に目が覚めて、以後眠れない。うつ病ではこのタイプが多い ・昼夜逆転リズムが乱れて昼と夜が逆になる。仕事や学校に行けない原因の一つ ・過覚醒ショックな体験で神経過敏になり眠りつけない。PTSDなど
からだとこころ編集チーム