「サケ鍋」が「豚汁」に…深刻化する秋サケの不漁 漁獲量は10年前と比べて3% 背景には…
道民の食卓にも影響 スーパーは前年比3割高
私たちの食卓にも影響がー こちらのスーパーでは、秋サケが100グラム270円。 3切れ入って800円と、2023年に比べ3割ほど高くなっています。
特売品の筋子も、通常の日は2023年より2~3割ほど高いといいます。 客も目をとめますが、なかなか手が伸びません。 (購入しなかった人)「ちょっと高めかな~、やっぱり家族分買うとなるとかかるなって感じ」
こちらの男性は悩んだ末に… (購入した人)「はらこ飯作ってみるわ」 サケの切り身と筋子を買い物かごに入れました。 (購入した人)「ことし初めて買った。セットで買わないと」
スーパーでは消費者のサケ離れを懸念し、骨を抜いたり小さな切り身にして価格を抑えたり、工夫して販売しています。 (北海市場屯田店 斉藤亮彦店長)「シーズンを通しての平均的には昨年よりは1~2割は高くなると思うんですけど、10月に入るともう少し水温が下がってサケの量も増えると思いますので、値段ももう少し落ち着くのかなと」 サケはなぜ減ったのか。
「海水温」だけではない不漁の要因
北海道大学の帰山雅秀名誉教授はある要因を指摘します。 (北海道大学 帰山雅秀名誉教授)「一番サケの回帰に影響を及ぼしているのは、ベーリング海でのサケ同士の競争。摂餌競争に負けていると言っても過言ではない」
日本の川で生まれたサケは、海に出たあと北太平洋やベーリング海を回遊して成長します。 ベーリング海では2010年以降、温暖化で海水温が上昇し、カラフトマスが増加。 サケはエサをとる競争に負けて、減少しているとみられています。
さらに、夏場のオホーツク海における海水温の上昇も影響していると分かりました。 水色がサケの生息に適した水温のエリアですが… (北海道大学 帰山雅秀名誉教授)「2020年代以降は端的にエリアが狭くなっている。オホーツク海全体で今まで幼魚の生活エリアとして利用できたのが、北の沿岸に限定されるようになってきた。温暖化の影響がかなり深刻なところまできたのかなと感じています」
深刻化する秋サケの不漁。 道によりますと、一部の地域で水揚げ量が回復しつつあります。 しかし、全体の漁獲量は2023年の4割ほどにとどまっていて、その影響はしばらく続きそうです。