【選手権】選手権初出場の金沢学院がPK戦の末に鹿児島城西を撃破
第103回全国高校サッカー選手権大会は29日に1回戦11試合を実施。Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsuで行なわれた金沢学院大附と鹿児島城西の一戦は、0-0(PK:4-3)で金沢学院大附が勝利し、帝京の待つ2回戦へと駒を進めた。 【フォトギャラリー】金沢学院大附 vs 鹿児島城西 「(相手は)プレミアリーグのチームでしたが、関係ないと思っていた」。北一真監督がそう話すように選手権初出場の金沢学院だが、入学時から磨いてきたポゼッションスタイルへの自信は十分。大会前に行なった練習ではなかなか思うような結果は得られなかったが、持ち味を出せるシーンも多く手応えはあったという。 とはいえ、プロ注目のFW9大石脩斗(2年)を起点とした鹿児島城西のパワフルな攻撃に付き合えば分が悪くなる。立ち上がりから、司令塔のMF10今鷹陸(3年)、DF4山下聖真(3年)とDF5氷見悠翔(2年)のCBコンビを中心にテンポよくボールを動かしながら、機を見て前線にスルーパスを展開することで試合の流れを自分たちに呼び寄せた。 前半11分には自陣からのロングボールにFW9家邉凛太朗(2年)が反応し、ゴール前を抜け出そうとしたが並走したDFに遮られ、シュートは打てず。13分には中央での全身から左に展開し、DF12油野瑛斗(3年)がゴール前に素早いボール。中のMF8岡山拓未(3年)が合わせたが、シュートは枠を捉えることができない。以降も「したたかですし、意外と勝ち気。よく頑張ってくれた」と指揮官が称える家邉を起点に金沢学院大附がゴールへと迫ったが、1点を奪えないまま前半を終えた。 対する鹿児島城西は思うように力が発揮できず。新田祐輔監督はこう振り返る。「我々は(県大会決勝を行なう)白波の経験しかなかった。初出場でした。ここに来てからの準備やロッカーの使い方でバタバタしていました」。 前線に放り込んでも大石一人ではなかなかボールがおさまらず、セカンドボールも拾えなかったため、後半に入ってからは選手交代によって中盤の厚みが出るシステムに変更。セカンドボールの回収からサイドに展開することで、ロングスローとCKの数を増やした。 後半11分には左から入れたMF6柳真生(3年)のロングスローから、DF19浮邉泰士(2年)がヘディングシュート。13分には大石のポストプレーから、MF8添島連太郎(3年)がゴールを狙ったが、得点は奪えない。30分にも大石がおさめたボールからMF15重盛響輝(2年)がミドルシュートを放ったが、金沢学院大附のDFがブロック。 「相手にロングボールを蹴らせない。次は蹴られたら弾いて拾う。その次は競らせない。そこは徹底して練習してきた。CBの2人は全国でもやれると思っているので、是非見てもらいたい」。北一真監督がそう胸を張る金沢学院大附の堅守を崩せないまま前後半を終えた。 迎えたPK戦で輝いたのは川崎U-15出身の守護神、GK1石山アレックス(2年)。Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsuは川崎フロンターレのホームグラウンドで、石山にとっても思い入れの強い場所。「PK戦は自分がやってやる、このチームを勝たせてやるという気持ちだった。3年生をまだ引退させるわけにはいかない」と意気込んで挑んだという。 3番手までともに成功し、迎えた金沢学院大附の4番手、山下が放ったキックは相手GKに阻まれたが、直後にキャプテンマークと想いを託された石山が読みを的中させてキックをストップ。続く鹿児島城西5番手のキックがクロスバーに直撃し、金沢学院大附が勝利した。 (文・写真=森田将義)