潘基文国連事務総長の「国連は中立ではない」発言は妥当なのか
軍事パレード出席より現在の紛争解決を
国連事務総長は、冷戦後の国際紛争解決において、大きな役割を果たしてきた。国連事務総長特別代表を紛争地に送り、安保理常任理事国と紛争当事国(者)の利害を調整し、多くの紛争を和平合意に導いてきた。和平合意後も、PKOを紛争地に送る際に事務総長は、中心的役割を担う。国連事務総長の力の源泉は、国際社会の良心を安全保障理事会に対して訴えることが出来るという点にある(国連憲章第99条)。 潘基文国連事務総長が、「国連は中立ではない」と言うならば、中国の軍事パレードに出るのではなく、いま現実に紛争が起きているシリアや南シナ海などで紛争解決のために積極的な役割を果たすことこそ、これまで国連の取ってきた立場と一致する行動といえる。 (中野宏一/THE EAST TIMES)