英国体操協会が「10歳以下の体重測定を禁止」へ…”行き過ぎた体重管理”が問題に
英国体操協会は、「虐待の一歩手前」まできている「有害な慣行」を止めるため、コーチによる体操選手の体重測定を禁止する。イギリス版ウィメンズヘルスから詳しく見ていこう。 【写真】異物を食べたり、夜食べ過ぎたりも…あまり知られていない5種類の摂食障害 BBCが報じたところによると、この新しい規則は10歳以下の体操選手の体重測定を禁じるもので、つい最近までは強制力のないガイドラインに過ぎなかった。11歳以上の場合は、選手本人の同意と（選手が18歳未満の場合は）両親か保護者の同意があることを条件に引き続き体重測定が可能となる。また、今後は英国内のジムも、この人権保護を目的とした新規則を遵守しないと制裁を科される恐れがある。 英国体操協会の最高責任者サラ・パウエル氏はBBCに対して「このガイドラインの規則化には明確な意志を持って取り組んできました」と語っている。 この新しい保護対策のもとでは、「科学的に妥当な根拠」がある場合に限り、医師かスポーツ科学の専門家による体重測定が許される。例えば、選手に応じた筋トレ・コンディショニングメニューを組むため、選手が成長期に入っていることを確かるためといった理由は認められる可能性が高い。
自ら脱水症状へ…
UKスポーツとスポーツイングランドが委託して2008年8月～2020年8月を対象に行われた2022年の調査の報告書『The Whyte Review』は、体操界に「深刻で組織的な問題」があることを露呈した。400件を超える回答の25%は「行き過ぎた体重管理」という形で「虐待的な行為」が行われており、女性選手には「思春期前の体型を保たなければならない」というプレッシャーがかけられていることを示していたのだ。 この調査では、多くの選手がパージングをしたり自分の体を脱水状態にしたりすることで体重管理に努めていることも発覚。その一方で一部のコーチは、食べ物を隠し持っているといけないからという理由で選手の手荷物や部屋を調べていることが分かった。
英国体操協会の最高責任者サラ・パウエル氏は「選手の心身の健康よりもメダルを優先する気は全くありません」と語った。 また、今回の調査に寄せられた回答の40%以上には、ケガに関する不適切なトレーニングや体罰といった身体的な虐待行為が記されていた。 2022年6月、エロイース・ジョティシュキー氏は英国体操協会に勝訴した初（そして現時点で唯一）の元体操選手となった。ジョティシュキー氏は2016年から2018年にかけて、現在は指導に携わることを禁じられているコーチのアンドリュー・グリフィスから虐待を受けたとして英国体操協会を相手取り、訴訟を起こした。同協会は謝罪声明を発表し、全面的に責任を追うとした。 今回発表された新しい規則のもとでは、選手がトイレや水を飲みに行くことを禁じる行為も「身体的虐待」となる。 トイレ休憩は「できるだけ早い段階で」与えられる必要があり、選手たちは定期的に水分を補給できて当然という主張が形になったと言える。 「大事なのは体操界全体が選手を単なる選手ではなく、若者として、子供として見ることです」とパウエル氏はBBCに対して語った。
