喜んで買っていただくコツ 守り続ける先輩に学んだ「最初の挨拶」と「最後の押し」 話の肖像画 夢グループ創業者・石田重廣<2>
「なんで売れたのですか」と聞くと、「商品説明はしなかったよ、前の彼がしてくれたから。肝心なのはドアが開いた瞬間の『最初の挨拶』と、これを買ってくださいという『最後の押し』なんだ。この『最後の押し』のタイミングを見極めるのも大事だぞ」と。お客さまに商品を買っていただくということは大変なことなんです。この先輩から学んだものは大きかったですね。
《この先輩の教えは通販のCMや番組で生かされている》
通販CMは主に120秒の中で、「商品説明はこのくらい」「買ってくださいという『最後の押し』はこのタイミングで」と考えます。商品説明はいいところを3点ほどに絞り、それも「面白い」より「すごい」と思ってもらうように話します。
主催する夢コンサートの会場でペンライトを売ったときのことです。最初はステージから「1本500円です。楽しんでみては」と呼びかけたのですが、なかなか買ってくれない。そこで次回から、「ペンライトを振るなんて恥ずかしいですよね」と否定から入り、「本日はフォーリーブスのノリノリの曲があるんです。振ってみませんか」「夜道を歩くときにも役立ちます」「お孫さんへのお土産にどうですか」と押しました。売れましたね。お客さまに喜んで買っていただける状況をつくる。それが商売だと思っております。(聞き手 大野正利)