右目のけがから復活の綾原が攻守に活躍 智弁和歌山が独自大会制す
高校野球の和歌山独自大会は6日、和歌山市の紀三井寺球場で決勝があり、2020年甲子園高校野球交流試合に出場する智弁和歌山は2番・綾原創太(3年)が3ランを放つなど攻守で活躍し、初芝橋本に10-1で快勝した。 3点リードで迎えた五回1死三塁の守り。前進守備の二塁手・綾原は、自信を持ってさらに前に踏み出した。正面の強いゴロにバウンドを合わせて好捕し、本塁に送球してタッチアウト。「1点もやらないつもりだった。攻めの姿勢でいけた」。サングラスをかけた異色の球児は満足そうに笑った。 堅守を買われ、1年秋からレギュラーをつかんだ。だが昨秋の近畿大会準々決勝でゴロを右目に受けて骨折し、全治約1カ月。後遺症で目が光に弱くなり、日中はチームメートから贈られた黒いサングラスをかけてプレーする。視力は戻ったがボールへの恐怖心が残った。それでも「目を理由に結果を出せないのはダサい。練習で自信をつけるしかない」と緩いゴロを捕球する基本練習から始め、一歩ずつ持ち味を取り戻した。 独自大会は5試合全てに出場して無失策。主将の遊撃手・細川凌平(3年)が「今年は守りの智弁」と評するチームを支えた。 この日は打撃でも五回に勝利を決定付ける左越え3ランを放ち、スタンドのチームメートや保護者の拍手に包まれながら本塁を踏んだ。「僕はつなぎ役。本塁打はセンター返しを意識した結果」とはにかんだが、中谷仁監督は「ひたむきに努力できる選手。ホームランはそのご褒美でしょう」とたたえた。【石川裕士】