松坂大輔氏 侍ジャパン・井上 まさに「大胆」 チームに勢いをつける見事な初戦
◇WBSCプレミア12 1次ラウンドB組第1戦 日本9ー3豪州(2024年11月13日 バンテリンD) 【松坂大輔 視点】初対戦の相手がほとんどで、独特の雰囲気に包まれる国際試合。警戒心は必要ですが、警戒しすぎて投球が小さくまとまってしまうのが一番怖い。いかに腕を振って大胆に攻め込めるか。巨人の井上投手は右、左打者とも臆せず内角に投げ込み、制球も抜群。まさに「大胆」に投げ込んでいました。23歳で大事な初戦の先発を任され、チームに勢いをつける投球だったと思います。 初回のテーマは「いかに無失点で立ち上がるか」。先頭のバザナ選手に安打を許しましたが、慌てませんでした。140キロ台後半の直球は打者の手元で伸びがあり勢い、威力ともに抜群。そして同じ腕の振りで変化球を投げ込む。打者は完全に惑わされていました。 特に光ったのが2死三塁で4番ウィングローブ選手を三振に取った場面。左対左で、相手の内角に食い込みながら落ちるツーシームが威力を発揮。6球のうち3球がツーシーム、3球がスライダーとベース板の左右を広く使い、最後は内角ツーシームで空振り三振に仕留めました。 6回に一発を浴びましたが、初戦の先発としては十分な仕事ぶりでした。次回登板もベンチは自信を持って送り出せると思います。世界の舞台でこれだけの投球。今後も26年WBCや28年ロサンゼルス五輪での活躍も期待できる投手です。(スポニチ本紙評論家)