サカスタに翼を授けた匠たち 大構造物を支えるのは「弓」と「3本の矢」 新国立競技場の経験も生かし のべ18万人の工事関係者が 暑い日も雪の日も工期と向き合って格闘した23か月
広島の新スタジアムは、柔らかく包み込むような翼をイメージした白亜の屋根。これが実は難しかったのです。 小林康秀 キャスター 「ずばり、こちらのスタジアムと国立競技場、どちらが難しいですか?」 大成建設 小山聖史 さん 「こちらです」 屋根は柱で支えることが多いのですが、観客席側に柱を建てると見えにくくなるので柱を無くした大空間を作ることにしました。そこで、“柱ではない別の方法” で屋根を支えることにしました。それもサンフレッチェらしい形で… 大成建設 小山聖史 さん 「今回、この屋根は張弦梁と呼ばれている、空に向かって弓を、弓矢を射るような形をしているんですね」 張弦梁は、弓矢のような形、つまりサンフレッチェの象徴「3本の矢」で屋根を支えているのです。自らの重みでたわもうとする屋根を弦に見立てた左右のケーブルを1100トンの力で引っ張り、3本の矢を模した束で支えると柱がなくてもバランスが保てます。この工法は体育館などで一般的に使われていますが、スタジアムのような巨大建築では珍しいといいます。 大成建設 小山聖史 さん 「そうすることで例えば、この特徴的な南西と南東に三角の空間があるんですけど、このような空間が実現できます。ぱっと見は、きゃしゃな造りに見えませんか? この翼のような軽やかな屋根を作るには、やはりこのケーブルは必要だ」 この工事の難しさの1つは、作るまでの過程です。アーチ状の屋根を片方から伸ばして作りますが、完成するまで安定しません。 小山聖史 さん 「地震が来たり、途中、台風が来たり、そういう不安定な状況に外からの力がかかったときにも問題がないような検討が必要だった」 最後に弓の弦の部分にあたるケーブルで引っ張り、およそ10か月かけて屋根を作りました。 スタジアム完成まで1日最大700人、のべ18万人が関わりました。2年弱という工期に納めるのは大変だったといいます。 大成建設 小山聖史 さん 「いつから屋根を建てようとか、いつから芝を張らないとだめとか、そういうところを決めてそれを一歩ずつクリアをして、現場の中は一体感持って進めていく必要がありました」
スタジアムは昨年末、引き渡しされて本体工事は終わりましたが、小山さんは終わったとは考えていません。どのように使われて行くのか、どのように感じてもらえるのか、見届けたいと話します。 大成建設 小山聖史 さん 「市民のみなさんの中には20年以上、このスタジアムに思いを寄せていただいてる人がいると思っていて、それがついにできたっていう感動を持って帰ってもらって、すばらしいスタジアムになったなと思ってもらえればうれしいと思う」
中国放送
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