建築基準法が生活を便利にする? 容積率緩和とネット通販の関係とは
毎日せわしなく働く現代人にとって、いつでも注文が可能なインターネット通販はいまや生活に欠かせないツールといえます。 【画像】建築基準法が生活を便利にする? コンビニ新設とエリア規制 パソコンやスマートフォンの普及もあり、利用者にとっては便利なネット通販ですが、一方で2~3年前から物流事業者の人手不足が深刻化しています。配達戸数・個数の増加は配達事業者に大きな負担になりますが、それ以上に重い負担になっているのが利用者の不在による再配達です。事業者側も受け取り時間の指定や勤め人らの利便性を考慮してコンビニなどで受け取りができるシステムを導入していますが、なかなか再配達は減少しません。 人手不足に端を発した物流をめぐる問題は、事業者のみならず厚生労働省・国土交通省・経済産業省などの中央官庁や地方自治体といった行政が取り組まなければならない社会問題にまで発展しました。そうした中、建築基準法が改正され、今年9月に施行されました。建物の構造面から物流事業者の不便を取り除こうとする動きが始まっています。
進まなかった「宅配ボックス」設置
ネット通販が身近になり、取り扱い量は増加の一途をたどっています。ネット通販の利用が増えることで、新たな問題が生まれています。それが再配達の増加による配達ドライバーの過重労働です。 ネット通販で購入する商品には、自宅マンションなどの郵便受けには入らないような大きな物もあります。そうした商品は、配達ドライバーが集配所にいったん持ち帰って再配達するのが一般的です。 再配達は手間も時間もかかるため、年々配達ドライバーの負担は増大していました。そして過重労働で健康を害してしまうドライバーが目立つようになりました。健康を害すことで離職者が増えれば、残ったドライバーに皺寄せがいきます。そうした具合に、物流業界は負のスパイラルに陥っていました。 ドライバーの負担を抜本的に軽減するには、再配達を減らすことが有効です。その切り札となるのが「宅配ボックスの設置」です。しかしこれまで、宅配ボックスがあまり普及しなかったのには事情があります。それが建物における「容積率」の壁でした。容積率とは建物の規模を表す指標で、建築物の敷地面積に対する延べ床面積の割合を言います。言い換えれば、容積率が高いほど高層のビルを建築することが可能です。