なんと日本人の「8割以上が疲れている」「元気な人が年々減っている」...世界で最も進んでいる日本の「疲労研究」で分かったヤバすぎる「日本人の疲労感」
一説によると、「疲れる」は「憑かれる」、つまり何者かに取り憑かれて身体が重くなることに由来するという。憑き物を落とすために必要なコツ――最新研究からそれが次々と明らかになってきた。 【一覧表】飲んでも効かないサプリはこれだ!
疲労と老化は同じ
「疲労を大きく分けると肉体的な疲労、精神的な疲労、感染性の疲労の3つがあります。それらすべてに共通することは、個々の細胞の酸化、修復するエネルギーの低下、そして炎症の3つ。 これらは時間の長さの違いはあれど、老化のメカニズムとほぼ一緒です。なので、毎日疲労を回復するということは、アンチエイジングにもつながるんです」 疲労は老化と根本では同じ―そんな驚きの解説をするのは、日本疲労学会の理事長で、神戸大学大学院特命教授の渡辺恭良氏である。 渡辺氏によれば、疲労を十分に回復しない日々を過ごしていると、知らぬ間に老化が早まって、健康を損ねてしまう。いつまでも元気で長生きするためには、こまめに疲労を回復しておかなくてはいけない。 皮肉なことに、日本では「疲労」が大問題になっているために、世界で最も疲労研究が進んでいるという。 '23年、その研究の中心を担う日本疲労学会と、日本リカバリー協会が共同で全国10万人を対象に大規模調査を実施した。 すると、実に81.8%の人が「疲れている」という結果が出た。日本人の8割は疲れているというのである。また、「元気な人」については'19年が23.2%、'21年が19.3%、'23年には18.2%と、低下傾向が続いていることもわかったのである。 どの国にも該当する言葉がないために、「過労死」(KAROSHI)という単語が世界共通語となったように、日本人は日頃から疲れている。
「乳酸」が疲労を回復させる
では、どうすれば疲労を回復できるのか。「疲労を回復する秘術」を探るため、まずは疲労の原因は何か、人体で何が起きて疲れるのかを見ていこう。 冒頭に挙げた3種類の疲労のうち、最もわかりやすいのは、「肉体的な疲労」だ。激しい運動などをして筋肉や骨格を酷使するうちに、身体が自由に動かせなくなってくる状態である。 その原因として、古くから「筋肉に乳酸が溜まるからだ」と説明する人が多かった。だが、最近の疲労研究によると、それはまったくの誤りだという。 「私たちは20年ほど前から、乳酸が疲労の原因というのは"濡れ衣"であるとずっと指摘していました。今では筋肉に乳酸が溜まると疲れを感じるという説は、完全に否定されています。 そもそも、運動をすると筋肉や血液中に乳酸が増えることは誰もが認めていましたが、乳酸が疲労の原因であるとした精緻な科学的な論文は、これまで一つもありませんでした。『酸が付く名前だから、何となく悪そうだ』というイメージで、乳酸犯人説が独り歩きしていたのです」(前出の渡辺氏)