【速報】美浜原発3号機は運転継続 差し止め求める住民側の即時抗告を「棄却」大阪高裁 “原発と活断層との距離”も争点
運転開始から40年を超えている関西電力・美浜原発3号機をめぐり、福井県などの住民らが運転差し止めの仮処分を求めた即時抗告審。3月15日、大阪高裁は住民側の抗告を棄却しました。 【解説を見る】原発政策の大転換「運転年数」の制限が緩和 関電で"60年超原発"誕生へ 関西電力の美浜原発3号機(福井県美浜町)は、1976年に運転を開始。原発の運転年数は原則最長40年と定められていますが、2016年に国の原子力規制委員会から20年の運転延長を認められたため、現在も稼働しています。 今回の判断で、美浜3号機の運転は継続されることになります。
“老朽原発で事故のリスク大” 福井などの住民が仮処分を申し立て
福井・滋賀・京都の3府県の住民ら9人は、 ▽美浜3号機は経年劣化が進んだ“老朽原発”であり、炉心損傷(=核燃料を納めた燃料被覆管の破損)といった重大事故のリスクが大きい ▽美浜3号機は基準地震動(原発で想定される最大の揺れ)が運転開始時点から大幅に引き上げられていて、安全面での余裕を食いつぶしている。地震に対する安全性も確保されていない状況 などとして、2021年に運転差止の仮処分を大阪地裁に申し立てました。 これに対し、関西電力側は、 ▽福島第一原発事故後に定められた新規制基準にしたがい、適切な保守管理を行って十分な安全性を確保している ▽基準地震動の変更を踏まえて耐震補強工事を行った などと反論。
大阪地裁「新規制基準の要求満たし、運転40年以上でも、重大事故が生じる具体的な危険性認められない」
大阪地裁は2022年12月、 ▽関電の高経年化対策は新規制基準の要求を満たしていて、運転開始から40年以上が経過しているとしても、重大事故が生じる具体的な危険性は認められない ▽新たな基準地震動に対応する形で耐震安全性評価を行っている点を踏まえれば、基準地震動が運転開始時点から引き上げられているとしても、そのことで安全性が低下したとはいえない などとして、住民側の申し立てを却下。これを不服として、住民側が即時抗告していました。※抗告人は2024年3月15日時点で7人
原発と活断層との距離も争点に
大阪高裁での即時抗告審では、“原発と活断層との距離”も主な争点となりました。 住民側は「原発敷地の境界(端)と活断層との距離を基準とすべきで、美浜原発と最も近い活断層との距離は、約500mにすぎない。いわゆる『震源極近傍』の危険な状態だ」と主張。 一方で関電側は、「震源極近傍の議論は、敷地内を活断層が通る日本原電・敦賀原発が念頭に置かれている」「原子炉建屋と活断層との距離を基準とすべきで、その場合、美浜3号機と活断層までの距離は少なくとも1kmは超えている」と反論していました。