「酒かすせっけん」に情熱 福島県のふたば未来学園高3年・鈴木さん 研究重ねて改良中 ものづくりで復興後押し
福島県のふたば未来学園高3年・鈴木初美さんは、浪江町の鈴木酒造の協力を受け、酒かすせっけん作りに挑戦している。鈴木さんのこれまでの研究は、さまざまなコンテストで入賞するなど高い評価を受けた。その一方で改善点は多いとして、よりよい商品の完成に向けて一層の情熱を注ぐ。「ものづくりを通して復興を後押ししたい」と意気込む。 探求学習の一環で研究を始めた。原点は高校1年の時に参加した双葉郡を巡るバスツアーだった。東京電力福島第1原発事故に伴う避難の状況を学び、地場産品を使ったものづくりによる復興支援への思いが生まれた。化粧品の企画という将来の夢を背景に、昨年4月から取り組んでいる。 環境を意識した「エシカル(倫理的)」な生産や消費にも着目し、全国的に廃棄量が多いとされる酒かすに注目した。鈴木酒造を訪ねると若者の酒離れなどの課題も知り、新たな商品開発による情報発信を目指し、せっけん作りに励んだ。
研究は全国約3800件の応募があった探求学習コンテスト「自由すぎる研究EXPO」で金賞を受賞するなど高く評価されている。ラベンダーやミカンのオイル作りやアロマテラピー検定1級取得など、酒かすせっけんにたどり着くまでの試行錯誤と経験を研究に生かす姿勢が認められた。 せっけんは校内に設置し、泡立ちや香りなどの感想を聞きながら改善と試作を進めている。研究を通じて挑戦の大切さや周囲の支援への感謝を学んだ。「将来は企業の協力などを募って商品化できたらうれしい」と話す。進学してマーケティング経営を学びたいと志しており、重ねた経験をさらに磨くつもりだ。