＜広・神＞8回、代走・羽月は三盗を決める（撮影・大森　寛明）

　◇セ・リーグ　広島7－5阪神（2024年7月4日　マツダ） 　広島・新井貴浩監督（47）が4日の阪神戦で決死の攻撃を繰り広げ、同一カード3連敗を阻止した。大幅にオーダーを組み替えて初回からヒットエンドランを多用。同点の8回には代走・羽月隆太郎内野手（24）が二盗、三盗を決めて暴投で決勝の本塁へ飛び込んだ。1イニング3盗塁は9年ぶり。果敢な攻めで苦境を打開し、3連敗から脱出した。 　羽月は3度のヘッドスライディングでユニホームを泥だらけにし襟元も破れた。三塁走者だった8回2死満塁。初球スライダーの暴投で迷うことなく本塁に頭から突っ込んだ。 　「梅野さんがやった（はじいた）のを見て、スタートを切れていた。最高の準備ができていたから、体が勝手に動いた」 　8回無死一塁で代走登場。7盗塁の小園に代わった意味を行動で示した。1死後の初球に二盗。計4度のけん制球でも勝負した。間一髪の成功。阪神側のリクエストでも判定は変わらなかった。四球で投手交代の直後、再び初球に三盗。野間と合わせて球団9年ぶりの1イニング3盗塁で勝利を呼び、「勝負手が打ててよかった。警戒されている中で行ってこそ自分。恐れずに行った」と胸を張った。 　阪神に対して前夜までの2試合でわずか1得点。新井監督は腹をくくって挑んだ。 　「凄く流れが悪い中、相手は村上投手だった。ある程度、むちゃくちゃやらないといけないと思っていた。どんどん攻めていった。選手が応えてくれた」 　初回無死一塁で初球にヒットエンドラン。空振りで盗塁が決まり、梅野の悪送球も誘って矢野の先制打につなげた。なお1死一塁でもヒットエンドランを2度仕掛けるなど、二盗失敗も含めて初回だけで一塁走者が5度もスタートを切った。2回以降も走者が出るたびに仕掛け、1点差に迫った4回2死一、三塁では今季最も早く代打・松山を投入。結果は空振り三振でも、超積極的な采配に徹した。 　「どんどん攻めていく起用にしてもそう。すべての面でリスク覚悟でどんどんいかないと。いい意味でめちゃくちゃやらないとね。選手が本当に応えてくれた」 　逆転された2回、傷口を最小限にとどめた菊池の好捕も忘れない。「あのプレーがなかったら、今日の試合は終わってたかもしれない。それぐらい素晴らしい」。前夜から1番・秋山以外を組み替えたオーダーも奏功し、8回は8番・堂林に貴重な適時二塁打も生まれた。「（羽月は）本当に素晴らしい、勇気のある走塁だった。今日の1勝は本当に大きい」。全員で攻めて難局を打開した。（長谷川　凡記） 　《広島は9年ぶりの1イニング3盗塁》 　○…広島の1イニング3盗塁は、15年8月16日のDeNA戦で5回に丸2、野間で記録して以来9年ぶり。 　○…1試合7点以上は5月29日のオリックス戦で14点を取って以来、28試合ぶり。8回には一挙4得点。1イニング2点以上は6月27日のヤクルト戦で1点を追う9回に2点を奪って逆転サヨナラ勝ちして以来、55イニングぶり。