「陸上は趣味、好きだからやっている」走り幅跳び・橋岡優輝
パリで11cmの壁を乗り越える
プライドをへし折られながらも、黙々と走り続ける日々。それでも、モチベーションを失う時は「ないですね」と即答する。 「いっぱい練習して、こんだけ練習してるもんな、強くなるだろうな、と思いながらやっています」 そして、続ける。 「陸上はずっと趣味なんですよ。趣味にできるくらい楽しいし、好きなもの。仕事という捉え方をすると、やっぱりどこか苦しくなる人もいる。 僕は仕事ではあるけど、どっちかというと好きだからやっているという要素が大きい。生活の一部というか、それくらい定着したもの」 純粋な気持ちが、世界的ジャンパーを衝き動かしている。 東京五輪では表彰台に11cm届かなかった。頂点を目指すパリ五輪では、8m50という日本人未踏のビッグジャンプを思い描く。 「走り幅跳びは自分を表現するもの。その表現は一番の舞台、オリンピックや世界陸上でするものだと思っている。 それに向けて準備する常日頃の練習も、今はトップのチームにいて、いろんな動きを見て、陸上楽しいな、とより思っている」 すでに参加標準記録を突破。2024年6月末には五輪選考会となる日本選手権、そして、花の都へ。大飛躍の最終局面に入った。 橋岡優輝/Yuki Hashioka 1999年1月23日埼玉県生まれ。東京・八王子学園八王子高から日大を経て、富士通所属。2018年U20世界選手権優勝。世界選手権は2019年8位入賞、2022年も決勝に進んで10位。自己ベストは日本歴代2位の8m36。父・利行さんは棒高跳びで、母・直美さんは100m障害、三段跳びで元日本記録保持者の陸上一家。サッカー東京五輪代表のDF橋岡大樹(ルートン)はいとこ。身長1m83cm。
TEXT=大和弘明