井上尚弥、サウジ国家イベントと推定30億円契約「限られた選手しかたどりつかない場所」来年現地試合期待
プロボクシングの世界4団体スーパーバンタム級統一王者・井上尚弥(31)=大橋=が、サウジアラビア国営の国際娯楽イベント「リヤド・シーズン」とスポンサー契約を結んだことが4日、発表された。推定で30億円の超大型契約とされている。イベント側の代表者は「来年、サウジアラビアでのビッグファイト」を期待。尚弥も「タイミングによって試合ができれば」などと意欲を示した。 次々と歴史を塗り替えた尚弥がまた“快挙”だ。サウジアラビアが国を挙げて取り組む一大プロジェクトと超大型契約を結んだ。尚弥は2日深夜(日本時間3日)、大橋秀行会長(59)らとプライベート機で首都リヤドの専用施設入り。4日にサウジアラビア総合娯楽庁(GEA)のトゥルキ・アル・シェイク長官のもとを訪れ、「リヤド・シーズン」とのスポンサー契約を締結した。 実は先月末にトゥルキ長官が来日。交渉を続けてきたという。「リヤド・シーズン」はサウジアラビア娯楽庁が設立した国家的な一大プロジェクトで、ボクシングでは2階級での4団体王座統一を果たしたT・クロフォード(米国)らが契約を結んだとされる。今年5月にはO・ウシク(ウクライナ)とT・フューリー(英国)との4団体統一戦がリヤドで行われた。推定総額30億円のスポンサー契約で、尚弥は同イベントのアンバサダーに就任。12月24日、東京・有明アリーナで行われるIBF&WBO同級1位サム・グッドマン(26)=オーストラリア=との防衛戦から、トランクスのベルトライン前面に「リヤド・シーズン」のロゴをつけて試合を行うことになった。 「キャリア後半に差し掛かってくる中で、モチベーションとなる契約ができた。非常に楽しみな契約だと捉えている」と尚弥。トゥルキ長官は「25年に日本とサウジアラビアは外交関係70周年を迎える。井上はオールタイムで最高な選手。25年のビッグ・サプライズとして、ともに歴史をつくるため契約を結んだ」と説明。尚弥にはさまざまな宣伝活動やSNSなどを通じて同イベントのPRを求めるが、アンバサダーとして最も期待するのは「来年、サウジアラビアでビッグファイトをすること」だという。 同国での試合について、尚弥も「来年どうなるかは分からないが、タイミングによってサウジアラビアで試合ができれば」とコメント。米興行大手トップランク社のボブ・アラムCEO(92)は来春、米国での世界戦を熱望しており、尚弥の動向から目が離せなくなってきた。(谷口 隆俊) ◆井上尚弥に聞く ―「リヤド・シーズン」のアンバサダーという肩書が付いた。 「自分自身のボクシングに対する考え方もまた少し変わっていくと思う。日本、海外のリングでまた違ったものを見せていきたい」 ―グッドマン戦では同イベントのロゴ入りトランクスをはく。 「トランクスのロゴが変わるからといって、僕のボクシングそのものが変わるわけではないので。そこは自分自身のボクシングを貫いていきたい」 ―「リヤド・シーズン」のイメージは? 「詳しく見てきたわけではないが、限られた選手しかたどりつかない場所。誰しもが行けるステージではないと思っている」 ―今後、サウジアラビアで試合を行うことについて。 「そのあたりもタイミングになる。日本でやってきたパフォーマンスを出して、その期待に応え、やるだけ」 ◆リヤド・シーズン(Riyadh Season) サウジ政府が取り組む「サウジビジョン 2030」の一環として、19年に同国娯楽庁が一大プロジェクトとして設立した、国営のグローバルエンターテインメント・プロジェクト。スポーツやコンサート、展示会などのイベントを通じて、国内外のエンタメ産業を活性化させることが目的。これまでにもサッカーのC・ロナウド(ポルトガル)やメッシ(アルゼンチン)、陸上のウサイン・ボルト(ジャマイカ)や歌手のジャスティン・ビーバーら各界のビッグネームとのコラボを実現してきた。
報知新聞社