松山空港 真夜中の地下探査 不発弾を見つけ出せ
12月16日。真夜中の松山空港。最終便が飛び立った後、人々が滑走路の周辺に集まり何かを始めました。一人は金属の機器を持って歩き、一帯を行ったり来たりしています。何をしているのでしょうか。これは不発弾を探すための磁気探査です。 今年10月2日、宮崎空港の誘導路で戦時中の不発弾が爆発しました。けが人はなかったものの、機体が通過した2分後の出来事だっただけに、国土交通省は5空港での再点検を決めました。その一つが松山空港で、この日が作業開始日でした。 松山空港が立つ場所にはかつて海軍の航空基地があり、一帯は激しい空襲を受けています。戦後80年を前に、図らずも空襲の記憶を思い起こすことになった現場を訪れました。(中井有人) ■地道な歩行 午後11時過ぎ。松山空港の滑走路付近が明るく照らされています。 「ハーイ、ハーイ」。男性が鉄パイプを組んだような機器を持ち、合図の声を上げてまっすぐ歩いていきます。ヘッドランプがあまり上下しません。揺れを抑えようとしているのが分かります。 50メートルほど歩いたら、今度は少し場所を変えて引き返します。この地道な往復が、磁気探査のスタートに当たる水平探査です。探査機を持つ人がひたすら歩行を繰り返し、一帯をローラーして地下のデータを集めます。探査機のセンサーの有効深度は地下2メートルとされています。 歩くときは、センサー部が地表から約20センチの高さになるように保たなくてはなりません。機器を平行に持ち、揺れずに一定速度でまっすぐ歩く必要があります。磁気反応はモニターに映し出され、後日詳しく解析されます。 この作業が2025年1月末まで、飛行機が寝静まる平日の午後10時~翌日午前6時に行われる予定です。 磁気の反応を映し出すモニター ここまでの作業で異常がなければ問題ないのですが、異常が見つかった場合は2月以降も作業が続くことになります。
愛媛新聞社