福井市の女子中学生、不眠症気味の母のためにスズムシの声を再現する研究 再現装置を製作、プログラミングも活用
福井県の福井市自然史博物館に通いながら、虫にまつわる研究をしている女子中学生がいる。同館が開く小中学生講座「足羽山むしむしスクール」や生き物観察会などに参加したり、虫のことを学芸員に質問したりしつつ、興味のある分野で数年かけて調査やブラッシュアップを重ねている。 スズムシの声をチャイムを使い電動で再現する研究に取り組む中学2年生の樫山のあさん。研究のきっかけは小学5年生の時、不眠症気味だった母の「スズムシの声を聞きながらだとリラックスしてよく眠れた」という言葉だった。 スズムシの鳴く期間が限られることなどから、別のもので再現できないか実験を始めた。まずは鳴き声の周波数を調べ、金属製のパイプを太さ、長さを変えて鳴らし再現を試みた。「スズムシウインドチャイム」と題し、真ちゅうのパイプがぶつかって鳴る、風鈴のような装置を製作した。 周期的な音の再現などを課題として、翌年には電動化を模索。幼い頃、兄とともにプログラミングを習ったことを思い起こし、試行錯誤してスピーカーの振動を活用した装置を小学6年生で完成させた。さらに雑音を減らすため、部品の組み合わせなどを工夫。家族や教員らの力を借り、装置を仕上げた。 スズムシは鳴き声に同調するという性質があることから、装置の音を聞かせる実験も実施。音を聞かせない場合と、聞かせた場合で比較すると、装置を聞かせた方が鳴いた。ユーチューブの動画で鳴き声を聞いていた母親の枕元に装置を置くと「とても寝やすい」と太鼓判を押された。 現在は小型化して工芸と組み合わせるなど見ても楽しい装置を目指し、磨き上げを図っている。「不眠症や精神的につらい人に、スズムシの声がよい影響をもたらすのであれば届けられたら」と意気込んだ。
福井新聞社