エスティ ローダーは通期見通しを撤回して株価は20%下落 トップ人事と中国やトラベルリテールの不調を踏まえて
アナリストとの電話会見でフリーダ現CEOは、「取締役会が最終的に社内から後継者を選んだことは、個人的には非常に喜ばしいことだ。社内候補者の方が、重要な変更を素早く行うのに適している」と強調。「新しいリーダーはまた、世界の大きなトレンドの変化に対して、どのようにリソースを配分していくかを理解する能力も持つべきだ。私たちは、市場において強く選ばれる理由があるブランド群の構築を目指しているが、そのためには緊迫感やスピード、勇気を持って行動する人材が不可欠だ」と述べる。
9月30日に終了した、同社の25年度第1四半期の売上高は、前年比4%減の33億6000万ドル(約5107億2000万円)となり、アナリストらの予想33億7000万ドル(約5122億4000万円)を下回った。同社は、中国の消費者心理の悪化が中国本土におけるプレステージビューティ全体のさらなる軟化を招いたことや、アジアのトラベルリテールと香港におけるコンバージョン率の低さを指摘。また、アジアのトラベルリテールにより、同地域の売上高は11%減少した。情報筋によると最大の問題の一つは、ELCが以前から“代購”(中国の消費者が海外で商品を安く購入し、中国で安く販売すること)に依存していたことにあるようだ。
ライバル、ロレアルの商況
ライバルのロレアル(L’OREAL)も中国の景気減速の影響を受けたが、第3四半期の売上高は前年比2.8%増の102億9000万ユーロ(約1兆6978億5000万円)だった。さらにリュクス事業本部の売上高は、北アジアが最も比重を占める部門であるにもかかわらず、前年同期比5.8%増加した。
ELCは、第1四半期に1億5600万ドル(約237億1200万円)の損失を計上した(前年同期の純利益は3100万ドル=約47億1200万円)。主な原因は、同社の化粧品ががんを引き起こしたと主張する、タルク関連訴訟の和解契約に関わる費用1億5900万ドル(約241億6800万円)だ。これは、原告の法律事務所から今後請求されうる費用を含む。また、利益回復を目指した成長計画の一環であるリストラの関連費用も反映された。