政治資金規制法の改正、自民党案の受け止めは… 世論調査の質問作成に苦心した理由
政治とカネの問題を引き起こした自民党の法案に対する世論の評価は――。朝日新聞社が毎月実施している全国世論調査ですが、5月の18,19日に実施した調査では、直前まで質問文を確定させることができませんでした。各党の動きとともに、経緯を振り返ります。(朝日新聞記者・渡辺康人) 【画像】政治資金規制法 自民党の再修正案は? グラフで世論の受け止めをチェック
政治資金規制法 「条件付け」の多い自民党の改正案
5月の定例世論調査(18~19日、電話)の設問と原稿作りの担当をしたのですが、調査日の直前まで質問文を確定させることができず、いつになく冷や汗をかきました。 自民党派閥の裏金問題をきっかけに国会で議論が始まった「政治資金規正法」の改正が注目点でしたが、法案の要点を電話で伝えるのがただでさえ難しいうえ、自民党案などがぎりぎりまで決まらなかったためです。 自民党が独自の政治資金規正法改正案を単独で国会に提出したのが、調査前日の5月17日、金曜夜のことでした。野党案についてはその翌週となりました。 土日の調査に向け、質問文は作業日程などから木曜日にほぼ決めておくことが多いのですが、今回は違いました。 やはり最も知りたいのは、政権の中枢にあり、今回の政治とカネの問題を引き起こした張本人である自民党の作成した法案に対する世論の評価です。 国会の審議日程を考えると、調査前には法案提出または内容が示されそうだったので、前週から全ての全国紙やテレビなどの報道、各党のホームページに目を通しながら、世論に問うポイント探しと質問文の表現を練っていました。 自民党は、最初はあまり熱心でなかった「政治資金収支報告書不記載への連座制」「政策活動費の使途公開」について、公明党との協議を経て法案に盛り込む姿勢を見せ始めました。 それだけを聞くと、「不記載があれば議員が連帯責任で罰を受ける」「政党から幹部議員らに渡される政策活動費の使い道を公開する」とイメージされそうですが、中身が判明するにつれ、そうでもないことがわかってきました。 自民党案では議員が連座制に問われるのは「収支報告書を十分確認しなかった場合」。政策活動費の「公開」は「大枠の項目ごと」、つまり具体的に何にいくら使われたかはわからないのです。 ほかにも「政治資金パーティー券購入者の公表を従来の20万円超から10万円超とする(他党は5万円超や廃止を主張している)」、「企業・団体献金の廃止は盛り込まない(他党は廃止を求めている)」など、自民党案の概要を表すポイントは多岐にわたるうえ、「条件付け」が多くて一般の人にはわかりにくいのです。