「せっかく褒めたのに」逆効果の言い方にご用心 一流の上司はどんな「褒め方」をしているのか
リーダーとして、部下のパフォーマンスを向上させるのに適切な褒め方があることをご存じだろうか。 たとえば、困難な作業を終えたチームに向かって「やり遂げたみんなを誇りに思う」というのは、良い褒め方、悪い褒め方のどちらだろうか。 褒め言葉であっても、伝え方を間違えればマイナスの効果を生む恐れがあると指摘するのは、米海軍の原子力潜水艦「サンタフェ」で艦長を務めた経験を持つマルケ氏だ。 では、どう褒めればよいのか。マルケ氏の『最後は言い方』より紹介しよう。 【写真を見る】『LEADER’S LANGUAGE』が読みやすくなって新登場
■褒め方の違いで行動が変わる 心理学者のキャロル・ドゥエックが行った重要な研究に、どの年齢でも簡単にできるパズルを5歳の子供に出題するというものがある。 この実験では、子供たちがパズルを完成させたときの褒め言葉を変えた。 半数の子供には「パズルを解くのが得意だね!」と、完成させることができた能力を褒め、残りの半数では「一生懸命パズルを完成させたね!」と、パズルに挑んだ努力を褒めたのだ。 その後、完成させたのと同レベルの簡単なパズルをもう一度やってみたいか、それとももう少し難しいパズルに挑戦してみたいかと尋ねてみた。
すると、「パズルを解くのが得意だね!」と能力を褒められた子供たちのなかで難しいパズルを選んだ子は半分もいなかった。 ところが、「一生懸命パズルを完成させたね!」と努力を褒められた子供たちをみると、90パーセント以上が難しいパズルを選んだ。 これは対象が大人になっても変わらない。つまり、人は自分のことを「頭がいい」と認識すると、自分の知性や知性の限界が実際に試される難題を避けるようになるのだ。 もちろん、そういう難題に挑まない限り、学習と成長は望めない。したがって、間違った褒め言葉は何の役にも立たず、いちばんの強みを磨く意欲を衰退させてしまうのだ。
■性格や能力を褒める言葉は使わない リーダーという立場の人は、しっかりと認識してほしい。褒め言葉であっても、伝え方を間違えればマイナスの効果を生む恐れがあることを。 よって、一般的なルールとして、褒める対象は、相手が自らの手でコントロールできる行動とし、「じっくりと考える」や「生まれながらのリーダー」といった、相手の性格や能力を褒める言葉は使わないと覚えておくといい。 相手がコントロールできる行動とは、障害にぶつかったときに真摯に対応する、行動を起こす前に徹底的に見直す、アイデアに対する意見を早期に周囲から募る、といったことだ。