高橋克典、『大岡越前』主演抜てきに感激「チャレンジャーのような思い」 今の時代に時代劇を届ける意義も語る
■今までにはなかったアクティブな大岡忠相を意識 また、「僕が忠相になったことで、今までにはなかったアクティブさを少し意識しています。まず、ポスターからして違うと思いますし、ちょっと体を使ったイメージ、強さというかパワー感が少し盛っていると思います」とこれまでの「大岡越前」との違いを語った。 すでに先行試写が行われた第1話と第2話は、マスコミ陣から好評を博したが、それを受けて高橋は「ありがとうございます。ちょっと安心しました」と胸をなでおろす。 「とにかくやってみるしかないと思いまして、いろいろ挑戦しました。でも、その仕上がりについては僕1人の力ではなく、監督やスタッフの皆さん、共演者の方々が、台本作りの段階から、全員で力を合わせて作り上げたという感覚があります。もちろん僕もその中の1人ですが、だからこそ完成した1話と2話を見て、そのことを思い起こして胸が熱くなりました」と感無量の様子。 だが、「1話、2話の時はまだまだ余裕がなくて、今回全8話ですが、4話ぐらいから少しだけ馴染んできたかなと感じました」と冷静に振り返る。 「初めの頃はいろんなことのすり合わせをしていたような気がしますが、4話ぐらいから、少し違う段階に入れたというか、役が自分に浸透していく感じがしました。本当に試行錯誤で、いろいろと思いついたことをやってみることの連続でした。一部、いい感じに見えるのは、きっといらないところを全部編集で切ってくださったからかなとも思います」と恐縮する。
令和のSNS時代に時代劇『大岡越前』を放つ意義
忠相役に共感するところは、「命の重さや、人が幸せであることをひたすら願うというところ」だという。 「たとえ物がなくても人って幸せなはず、という価値観です。時代劇では、友情や親子の愛情、恩義が描かれますが、やはり心の底からの思いというものは、贅沢なものを全部抜いて、一番大事なことだよねと言っている気がします。忠相は悪をバッサリいきますが、時には、温情で情状酌量の大岡裁きをしたりもします。そういう温かいところがいいですね」 相違点については少し考えたあとで「忠相はかっちりしている王道の人ですが、僕はあそこまで優等生ではないです。でも、今回は真っ当な感じの役にしようと努めました」と語った。 高橋演じる忠相の熱い眼差しも非常に印象的だが、高橋自身も「真っ直ぐに人の心の奥を見るということを心がけています。もし、いなければ想像すること、その人の心の中を真っ直ぐに見る目でいようとは思っていました」と目の演技のこだわりも明かす。 「僕は目が小さいですから」とおちゃめに言ったあとで「かといって、いろんな表情を出そうと思い、顔全体で表情を作るという芝居は、忠相においてはちょっとハマらなくて。今は自分的にはまだそういう段階じゃないと思うので、目の演技としては真っ直ぐに見ることを選択しました」と言う。 令和のSNS時代に時代劇『大岡越前』を放つ意義についても「今はSNSの発達で、はっきりした答えを求めたがる傾向にある気がします。物事を感覚的に受け止めているから、見えないものや、上手く言葉や形にできないものが認められにくくなっている。物事が部分的にフィーチャーされて持ち上げられがちですが、人間はもっといろんな面を持っているし、言葉にできないものが素敵だなと思っているので、そういうことを伝えていくことが時代劇を作る意義なのかなと思います」と持論を述べる。 さらに、「江戸の人たちが幸せに楽しく暮らしていたという文献をよく目にします。いろいろなことが整備されていなくて恐ろしかったところもあるかもしれないけど、その分、自由でおおらかな時代だったとも言えるかなと。そんな空気もドラマから伝わったらいいなと思います。何よりも時代劇好きな方に見ていただきたいし、僕も時代劇は家庭で見るというイメージがあるので、多くの方に楽しんでいただきたいです。新作時代劇がなかなか作られにくくなってきている時代なので、この作品は大事にしていけたらいいなと思い僕も参加させていただきました。本当にものすごく光栄です」と熱く語った。