【報ステ】「小さな差が積み重なった」トランプ氏“政権奪還”の背景は…上院も制す
■米メディアの“勝敗要因”は
注目された7つの激戦州を改めて見てみると、ノースカロライナ州とジョージア州でトランプ氏が勝利。どちらもハリケーン被害が甚大で、黒人有権者が多いところです。経済の困窮から“ハリス離れ”が進んでいたとされます。そして、最激戦州と言われたペンシルベニア州でもトランプ氏が勝利。ウィスコンシン州でもトランプ氏が勝ち、勝利が確定しました。 (Q.最終的にトランプ氏を押し上げたものは何ですか) 上智大学 前嶋和弘教授 「結果を見ると差は小さく、大勝ではありません。世論調査でほぼ同点で入ってきて、トランプ氏が上になった。いくつかのポイントで、ハリス氏の弱点をうまくついていったと思います。弱点と言ってはいけないのかもしれませんが、ものすごくシンプルな言葉で言うと“ハリス氏そのもの”です。『女性が大統領になっていいのか』という言葉を使うことで、マッチョ的な、男性的なものが良いと思っている人たちが固まったり。また、ハリス氏は黒人系とアジア系ですが、トランプ氏は『急に黒人になったね』と黒人ジャーナリストの会でわざと言う。ハリス氏は黒人じゃなくてハーフだなと思っている人もいて、ハリス氏に入れるのをためらわせる。ヒスパニックの人たちに対しては『バイデン政権で一緒にやっているはずなのに、何も対策してないじゃないか。お前たちは不法移民と同じ扱いでいいのか』のような言葉を使うことによって、分断されていったと思います。小さな差ですが、積み重ねていくとものすごく大きくなっていったのだと思います」 (Q.前回の選挙で民主党が取った、ジョージア州・ウィスコンシン州・ペンシルベニア州で、今回はトランプ氏が勝利しました。大越さんは現地を取材して、ひっくり返すほどの何かを感じましたか) 大越健介キャスター 「インタビューをする人する人が『今回はトランプだ』と話す人が多かったのは事実です。ただ、トランプ氏の演説会場に行った時、内容がハリス氏に対する個人批判だったり、民主党に対するあからさまな毒舌で、途中で帰ってしまう人もいました。そのため、最後まで分からないかなと思っていましたが、前嶋教授が言うように、微妙な差が積み重なって今回の選挙結果になったのでしょう。」 (Q.折り目正しい共和党員は、トランプ氏に対して不快な感情を抱いていた人も多かったと思います。今回取材をしてみて、そういう人たちはトランプ氏に入れるのでしょうか) 上智大学 前嶋和弘教授 「かなりトランプ氏に流れています。トランプ氏の8年間は何だったかというと、保守本流になってしまいました。政権の時には小さな政府・減税でがんばった。キリスト教福音派のことも考えながら、保守の判事をどんどん入れた。49年ぶりに人工妊娠中絶は州が決めることになった。まさに福音派のヒーローです。さらには怒れる白人たちの一部を固めたと。保守本流の小さな政府と福音派を固めたところは大きいので、共和党の本流だと思っていた人たちも『バイデン氏には入れられない』と考えたのでしょうね」 (Q.物価高など経済への不満が現政権に向けられた面もありましたか) 上智大学 前嶋和弘教授 「そうでしょうね。『バイデンフレーション』という言葉があります。バイデンが作ったインフレと。インフレは、コロナがあってサプライチェーンが潰れて、さらにウクライナ戦争でエネルギー価格が高くなったことが原因ですが、バイデンの時代に悪くなったと。もちろんバイデン政権が色々な形で手厚い支援をしたところがあるので、100%バイデンフレーションじゃないと否定できないのですが、誇張です。『バイデン政権の時にインフレになった。今がつらい。バイデン政権を支えていたハリス氏にも責任はあるだろう』この言葉は、特に共和党支持者には圧倒的に強いです」 (Q.選挙中は戦っても終わればノーサイドでしたが、今回は分断が深いと感じました。いかがですか) 上智大学 前嶋和弘教授 「トランプ氏はまず移民対策をして不法移民を追い出すと。さらには、2021年1月6日に議会襲撃をして逮捕された人たち全員に恩赦をすると。トランプ氏自身も訴追されていますが、恩赦するかもしれません。トランプ氏やトランプ支持者を追い詰めた人たちを糾弾するというようなことも言っているので、なかなかノーサイドとは言いにくいと思います」 (C)CABLE NEWS NETWORK 2024
テレビ朝日