年収2,000万円の55歳エリートサラリーマンだが…「家賃5万円」の都内オンボロアパートで暮らす理由に絶句【FPが解説】
勝ち組にみえても…
初対面にもかかわらず、お互いのことはよくわかっている――ネットで知り合うケースではありがちです。55歳のYさんは、大手IT企業に勤め、年収は2,000万円程度だそうです。それが事実なら、タワーマンションや庭付きの戸建てなどにだって住むこともできるはずですが、なぜ家賃の安い築古のアパートなのでしょう。 Yさんの両親は、人に騙され負債を抱えて家業を倒産。倒産当時の借金は2億円だったとのことです。Yさんの両親は返済途中で心労のため倒れ、精神的に立ち直れないまま、現在は介護施設に入所しているとのことです。 Yさんは親の代わりに借金を返済するため生活費を抑え、家賃の安いアパートに住みはじめたのがきっかけといいます。借金は返済できましたが、Yさんには、人間不信と両親の介護費用の負担が残ってしまいました。在宅勤務ができるため、家からはほとんど出ず、現在も質素倹約し、ひっそりと生活しているそうです。 Yさんの込み入った事情に、Aさんはなんと言ってよいかわかりませんでした。あまり人とも会わないからか、お世辞にもYさんの身なりはいいとはいえず、白髪交じりの髪、無精ひげからは哀愁を感じます。 Yさんは続けます「介護費用がかかるとはいえども、もう少しグレードの高い家にも住めるとも思う。でも、一度上げた生活水準は戻せない。両親もそれで苦労する姿を目の当たりにした。実際、住めば都で、いまのアパートには特に不満もない」。
社会とのつながりも重要
Aさんは、人との関わりが得意というわけではありません。しかしYさんは、そんなAさんの踏み込み過ぎず、不器用な気の遣い方をしてくれて、なにより趣味の話が合う点が気に入りました。「遠くの親類より近くの他人」ということわざがあるように、親類に頼れない2人にとって、築古アパートがきっかけで近くの他人になれたようです。 特に都心は近所付き合いがなく、隣にどんな人が住んでいるかわかりませんし、人は見かけだけでは判断できないことも多々あります。 働き方が多様化し、在宅勤務ができるようになり、オンラインで商談等がすすめば、ますます人と人のつながりが気薄になる可能性があります。見かけによらず資産家であったり、見かけを気にするばかりに借金を重ねてしまったりする人もいます。 ネットでつながっているから大丈夫と家に引きこもっていることばかりでは、運動不足にもなります。ほどよく社会とのつながりをもって外に出る、対面で話すことも大切なことです。 参考資料 国税庁:令和4年分民間給与実態統計調査 https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2022/pdf/000.pdf 三藤 桂子 社会保険労務士法人エニシアFP 代表