巨人阿部監督 交流戦は「秋のリハーサル」 負け越しも最終戦の総力戦ドローに満足
◆日本生命セ・パ交流戦 日本ハム3―3巨人=延長12回=(16日・エスコンフィールド) 巨人が、8勝9敗1分けの7位で交流戦全日程を終えた。日本ハムとの最終戦は、延長12回ドロー。阿部慎之助監督(45)は「負けなかったことが大きい」と評価した。先発・菅野が6回途中3失点で降板も、救援の6投手が無失点。岡本和が4回、2戦連発の12号2ランを放ち、8回2死からはヘルナンデスの3号ソロで追いついた。交流戦は楽天が初V。1試合を残してパが53勝51敗3分けとし、2年連続16度目の勝ち越しが決定した。 耐えて守り切った。3―3の12回。7番手のケラーが郡司、水谷、松本剛を圧巻の3者連続空振り三振に抑えて3時間53分の大熱戦を締めた。試合後、阿部監督は選手たちを拍手でねぎらい「負けなかったのが大きい」と引き分けを前向きにとらえた。北海道で日本ハムに2勝1分け。山あり谷ありの交流戦は8勝9敗1分けで負け越しとなったが、良い形で幕を閉じた。 交流戦に臨むにあたり選手に「短期決戦のつもりでやろう」と呼びかけ、「秋の短期決戦のリハーサルのつもりで」との考えを示していた。最終戦はその集大成。リーグ戦再開まで4日間試合がないこともあり菅野を6回途中3失点、92球で早めに代え、相手打者の左右も見ながら右の船迫、左の高梨を小刻みに継投した。8回にヘルナンデスのソロで追いつくと、7回途中から救援した赤星が2回2/3のロングリリーフで好投し、10回はバルドナード、11回は西舘が抑え、「とても頑張ってくれました」とブルペン全員をたたえた。 ベンチ入り26人中22人が出場した総力戦。同点で踏ん張ったことが最大のプラス要素だ。「今日、負けなかったというのは交流戦明けに必ずつながると思うので、前向きにやっていきたい」。この経験は今後の大事な試合、秋の短期決戦に必ず生きるはずだ。二塁・吉川、途中出場で三塁に入った増田大の好守備も光った。交流戦チーム失策数3は12球団最少タイだった。 ソフトバンク戦で5点差逆転勝利。ロッテ戦で9者連続安打を含む1イニング12安打11得点。3カード連続勝ち越しの好スタートから一転、オリックスと楽天に3タテを喫して6連敗した。良い時も悪い時もありながら前進してきた。投手では井上の成長とグリフィンの復活。野手では泉口の台頭が大きな収穫だった。 その中で課題を挙げるとすれば攻撃陣だ。特に中軸へとつなげる2番と、4番・岡本和を生かすための5番以降の並びは試行錯誤が続いた。日本ハム戦では2番が増田大、門脇、岸田と日替わり。一方で3戦とも5番・萩尾、6番・吉川、7番・坂本の形をとった。初戦で坂本に本塁打も出て、岡本和も2戦連発と復調の兆しを見せ、一定の成果はあった。今後に向けて脇役が機能した上で、主軸の2人が本来の姿を取り戻せるか、チーム全体として好機でのあと一本をいかに出せるかもポイントになる。 セ首位の広島とは3ゲーム差の貯金「1」でリーグ戦再開を迎える。過去、交流戦で負け越したシーズンではリーグVを逃してきたが、歴史は塗り替えるためにある。「収穫もたくさんあったし、反省するところもたくさんあった。一回リフレッシュして次(21日からの東京D)ヤクルト戦に備えてほしい」。目標の優勝、日本一に向けてチームには無限の伸びしろがある。(片岡 優帆) 記録メモ 巨人は日本ハムとの最終戦に引き分け、交流戦は8勝9敗1分けの負け越しとなった。巨人の交流戦負け越しは、22年以来8度目(勝ち越し9度、タイ2度)。負け越した過去7度のシーズン順位は、06年4位、11年3位、15年2位、17年4位、18年3位、21年3位、22年4位と、リーグVを逃している。
報知新聞社