「賃上げ率4%台」となれば日銀の「マイナス金利解除」が早まる可能性も
よくない数字の実体経済 ~物価高の影響でコロナ禍の強制貯蓄も積み上がったまま消費されず
飯田)株や為替はそういった思惑も含めて動きますが、実体経済の部分では、例えば企業物価があまり伸びていません。修正されたGDPの数字を見ても内需はよろしくないようですが、いかがですか? 吉崎)実体経済の数字は確かによくない。政府が毎月出している月例経済報告の2月の基調判断は、下方修正ですからね。特に問題は消費で、やはり物価高が効いています。物価が上がることに日本の消費者は慣れていない。私も覚えがありますが、脳内物価というものがあり、「昔は160円だったのに、なぜいまは210円なんだ」などと思ってしまうのです。210円が払えないわけではなく、違和感をみんな引きずっている。そうすると「きょうはいいや」となってしまって買わないのです。 飯田)「100円台の牛乳がなくなったぞ」と。 吉崎)私は去年の夏ぐらいまで、日本にはコロナ禍で使えなかった貯蓄率の上振れが約50兆円あり、それが消費に回るので「消費はよくなる」と説明していました。しかし、計算を見るとほとんど使っておらず、積み上がったままです。アメリカ人はほぼ使い果たしていますが。アメリカの消費の凄さですね。 飯田)それがあのインフレ率につながった。日本人の場合、この堅実さがいいのか、悪いのか。 吉崎)結局、インバウンド頼りの消費になっているのです。 飯田)好循環まではあと一歩ですか? 吉崎)賃上げ後の消費にも注目したいですね。