「賃上げ率4%台」となれば日銀の「マイナス金利解除」が早まる可能性も
第1回集計結果で賃上げ率4%台の答えが出ても日銀が動かなければ、「何か理由があるのか」と疑われる可能性も
吉崎)マーケットの予想は平均賃上げ率3.7%ですが、そんなもので済むはずがありません(※編集部注:連合の15日の発表によると、ベア・定昇を合わせた賃上げ率は平均5.28%)。発表された数字を見て来週日銀が動かなかったら、「何か理由があるのか?」という反応を招いてしまうわけです。 飯田)逆に疑われてしまう。 吉崎)「4月まで待ちましょう」となれば、円安が進む恐れが出てくる。日本銀行的な発想では、「賃上げがこんなにある」となると「待て、地方の声も聞こう」という話になります。
日銀判断が4月より早まる可能性は「五分五分」
吉崎)4月1日に重要な日銀短観が出ますので、企業の採用動向も見たい。そして4月4日には、日銀の全支店長が本店に集まる支店長会議が予定されています。地方の状況を聞き、その上で決断するのが日銀的には正しい作法です。植田さんは慎重な方なので、「4月かな」というのがいままでの予想でしたが、五分五分ぐらいになってしまったので、週明けの新聞は大変ですね。どこがどう書くのか。 飯田)最近は紙面のみならず、各社「電子版で先に」という流れもあります。 吉崎)ピリピリしていると思いますよ。 飯田)夜中から先物でも相場が動きますからね。 吉崎)為替も何円か動いてもおかしくありません。
日銀の金融政策決定会合が4月25・26日で、補選が28日
飯田)政治的な話をすると、4月には補選がありますよね。 吉崎)日銀の金融政策決定会合が4月25・26日で、補選が28日です。これがまた微妙なのですよね。 飯田)直後というか。 吉崎)「いまのうちにやれるのなら、やっておいた方がいいかな」という方向も、わからなくはないですよね。 飯田)1回冷やして円高に振れておき、ジリジリ戻れば「マイルドでちょうどいい」と。
為替と株とを見ながらの神経質な動き
吉崎)マーケットがどう受け止めるかにもよりますが、かなり前から「マイナス金利解除」と言われ続けてきたので、肯定的な評価になると思います。利上げであれば株は売りかと言うと、「いや、我々は正しい道筋にのっている」という評価の方が強くなるのではないでしょうか。 飯田)一時4万円に乗り、そこから利益確定の局面になっていますが、もう一段上がる可能性もある。 吉崎)最高値から3円ほど円高に振れたのですよね。そうすると株価の方は少し下げる。日経平均が2月22日に最高値に到達した1つの理由は、みんなが考えなかったくらい円安に振れたことです。150円にもう1回戻ったことが大きいので、「為替と株とを見ながらの神経質な動き」になると思います。