【アーセナル分析コラム】はっきりと現れた主力と準主力の差。「今は自信がなさそう…」ジェズスに足りなかったことは?
プレミアリーグ第7節アーセナル対サウサンプトンが現地時間5日に行われ、3-1でアーセナルが勝利した。ホームチームは、ここまで未勝利の昇格クラブに対して先制を許したものの、主力選手たちを投入して一気に逆転に成功。主力と準主力選手の差が明確に現れた試合になったのではないだろうか。(文:竹内快) 【動画】アーセナル対サウサンプトン ハイライト
アーセナルは大胆なターンオーバーを敢行
アーセナルは2試合連続で逆転劇を披露し、エミレーツスタジアムに詰めかけたサポーターを魅了した。 この試合で、真っ先に注目が集まったのが、ミケル・アルテタ監督が下した大胆な決断だ。 スターティングメンバーには、ガブリエウ・ジェズスとラヒーム・スターリングが今季リーグ戦で初めて名を連ね、左ウイングの一番手であるガブリエウ・マルティネッリがベンチに。右サイドバック(SB)の主力であるベン・ホワイトやユリエン・ティンバーはベンチ外となった。 これによって、本来は中盤の選手であるトーマス・パーティが右SBの代役を務めることになった。チームの大黒柱であるマルティン・ウーデゴールを欠くアーセナルは、中盤の底にジョルジーニョ、インサイドハーフ(IH)にデクラン・ライス、カイ・ハヴァーツが並ぶ、通常とは異なる布陣に変化している。 思い切ったターンオーバーが敢行されたアーセナルのイレブンのなかで、ジェズスはゴールを奪えず、存在感を発揮することができなかった。同選手は、『football.london』の記者によるレーティングでチーム最低評価の「5」をつけられている。評価を落としたブラジル人FWには何が足りなかったのだろうか。
ジェズスに足りなかった動き
イレギュラーなイレブンだったことで、前半ではしばしば左右両サイドで攻撃の停滞が発生した。 通常であれば、右サイドでチャンスメイクを行い、左サイドでゴールを仕留める、という形がアルテタ・アーセナルの十八番である。しかし、サウサンプトンとの一戦では、いつもの流動的な攻撃が再現できないため、押し込むことはできても手詰まり感が見えた。 最も分かりやすい例が右SBパーティの動きだ。同選手はサカに対して適切なタイミングでオーバーラップやインナーラップでサポートすることができず、背番号7の突破力頼みという状況が生まれた。 パーティは本職SBの選手ではなく、彼を責めるのは酷である。むしろ、後ろに残ってミドルを狙った方が脅威になるだろう。筆者はジェズスがサカのサポートに回るべきだったと考えている。 ブラジル人FWは左に流れた位置取りをしていることも少なくなく、しばしばスターリングとポジションが重なっていた。であれば、ハヴァーツが中央に残り、ジェズスが右に流れた方がゴール前の迫力は増すはずだ。 ジェズスがサカの前方、すなわち右のポケットに走り込み、パーティがボックス外からミドルを狙える位置取りをする。サカを自由にするためには、右サイドにジェズスの献身的なサポートが必要だった。