清原Jr.「育成でも指名ゼロ」の決定打になった“譲れない希望”とは? 「実力不足」や「事件の影響」よりも……
「一塁手は余程打たないと」
「清原の(ドラフトまでの)六大学での成績(通算2本塁打、打率2割2分6厘)だけを見ると、本来ドラフト対象にはならない選手です。清原さんの息子という話題性が先行していた面は否めません。内野、しかも一塁しか守れないとなると、プロでは余程打たない限り、ポジション取りは難しい。一塁は外国人選手の補強で真っ先に埋まるポジションでもあります。遠くに飛ばす能力は天性のものがありますが、プロの投手の球威、変化球の切れ味は別次元です。大学生レベルで2割そこそこの打率では適応に相当な時間を要するでしょう。中学、高校と長いブランクもあったわけですから」 しかし、NPBでは過去に「縁故入団」が周知の事実とされたほどの実力の持ち主でも入団にこぎ着けた例はある。 「それを考えれば、清原の指名はあっても良かったと思います。話題性はピカイチで、1年目のキャンプだけで(グッズの売り上げなどで)契約金をまかなえる経済効果はあるでしょう。しかし、各球団とも話題性を含めて分析した上で見送ったわけで、現時点でのプロ選手としての力を適正に評価したということだと思います」(元NPB球団社長)
“父の事件”の影響は?
覚醒剤取締法違反で有罪判決となった清原氏を父に持つことの影響はなかったのだろうか。前出のスカウトは「自分たちの球団としては、それはなかったですね」と言い切る。 「引っかかったのは清原のプロ生活が始まる時より終わる時のことですよね。入団するときはいいでしょう。(清原の)いいところにだけに目を向けて、マスコミには期待感を前面に出せばいいのですから。問題は戦力外にするときです。“客寄せパンダ”で利用するだけ利用してポイ捨てという印象を持たれては、球団のイメージに関わります。選手として投資する価値が見えづらいままに指名するというのは逆に無責任ということです。それが清原さんという球界のビッグネームのご子息であれば、なおさら慎重になるということです」 その一方で、ドラフト会議前に一部の球界関係者に出回っていた清原の希望にまつわる情報もネックになったという。 それは「清原は支配下(での指名)にこだわっていて育成指名ならプロ入りには消極的のようだ」というものだった。 「当初は育成でも構わないのかと思っていたのですが……。こういう話を聞かなければ、育成でなら取ろうとする球団はあったかもしれません。そもそも六大学の選手に育成指名というのは躊躇してしまう中で、不確実な状況でリスクを冒してまで指名する必要性はありませんので」(同スカウト) 事実、清原宛てに「調査書」を送付した球団はなかった。