低価格EV量産を目指すマスク氏が反EVのトランプ氏を支持する理由は?【WBS】
アメリカのEV(電気自動車)大手「テスラ」の株価が急上昇しました。株価を押し上げたのは23日に発表した7月から9月期の決算です。テスラはEVの販売で世界トップを争う自動車メーカーですが、このところ価格が安いEVを販売する中国勢の台頭により収益の悪化が続いていました。今回、業績が3四半期ぶりに改善したことについて、マーケットは好意的に捉えたようです。 「完全自動運転の車として開発する。寝ている間に目的地に到着するだろう」(テスラのイーロン・マスクCEO) 今月10日、完全自動運転のロボタクシー「サイバーキャブ」を初めて公開したテスラ。ところが、サイバーキャブの事業計画など詳細が発表されず、株価は一時およそ10%下落しました。低迷を続けていたテスラ株ですが、そこからわずか2週間。日本時間の10日、時間外取引で一時12%急伸しました。 株価を押し上げたのは日本時間の早朝に発表されたテスラの決算です。 テスラの純利益は1年前と比べて17%増え、21億6700万(約3300億円)に。売上高は8%増え、251億8200万ドルでした。営業利益率は10.8%と1年前の7.6%から大幅に改善し、1年半ぶりの高い水準となりました。
稼ぐ力が回復したテスラ。ニューヨークの販売店に展示されていたのは電動ピックアップトラックの「サイバートラック」です。このサイバートラックが初めて黒字化を達成したことも利益率の改善につながりました。テスラの世界販売台数は3四半期ぶりに増加に転じ、背景には販売の5割を占める中国で、政府の補助金による需要拡大があります。 販売の先行きについてマスク氏は「2025年通期のEV販売台数は20~30%伸びると思う」と発言。理由の一つが、サイバーキャブや低価格EVに関する新たな情報が語られたことでした。 「2026年に本格的な量産体制に入り、少なくとも200万台、最終的には400万台を目指す」(マスク氏) テスラが量産を目指す自動運転タクシー「サイバーキャブ」。羽のように開くバタフライドアの2人乗りで、ハンドルやアクセルペダルがありません。当局からの承認が得られれば、来年からカリフォルニア州とテキサス州で導入すると発表しました。 さらに低価格EVモデルを来年前半に投入する計画に変更はないと強調。来年に投入予定の新たな運転支援システムでは、人が運転するよりも安全な状態になるといいます。 決算での一連のマスク氏の発言について「SBI証券」企業調査部の遠藤功治部長は「マスク氏はサプライズをするので、期待値が半分で懐疑的なところも半分だと思う。テスラは多くの訴訟や裁判沙汰の件もあり、自動運転タクシーが短期間の間に採算ベースに乗る台数になるのかは今現在だと懐疑的にならざるを得ない」と話します。