６月２５日、アリセルの親会社エスコネクトのパク・スングァン代表が京畿道華城の一次電池会社アリセルの工場火災事故現場で取材陣の質問に答えている。　キム・ジョンホ記者

２３人が死亡、８人が負傷し、重大災害処罰法施行以降で最大の死傷者を出した京畿道華城（ファソン）アリセル工場火災事件の責任者が起訴された。水原（スウォン）地検担当捜査チームは２４日、アリセルと親会社エスコネクトの前代表取締役パク・スングァン容疑者（６０）を重大災害処罰法違反および産業安全保健法違反などの疑いで拘束、起訴した。パク容疑者の息子でアリセル総括本部長のパク・ジュンオン容疑者（３５）も拘束状態で起訴された。 検察はアリセル火災事故を「極度の安全不感症が招いた予告された人災」と指摘した。検察はこの日のブリーフィングで▼勤労者の生命と安全よりも利潤を優先した経営方式▼多数の事故の兆候にもかかわらず危険を放置して安全管理体系を整えなかった極度の安全不感症▼不法派遣による危険の外注化と人命軽視形態▼技術力不足を隠すための品質検査結果改ざんなどにより今回の惨事が発生したと説明した。 検察関係者は「技術力不足を安い人材で埋めようとする経営方式で危険を外注化し、災害による死亡者２３人のうち派遣勤労者が２０人にのぼるという結果を招いた」とし「作業の危険性を把握せず『コリアンドリーム』を夢見た移住労働者が惨事にあった」と述べた。 アリセル・エスコネクトの前代表取締役のパク容疑者は有害・危険要因点検の未履行、重大災害発生対応マニュアルの不備など安全保健確保義務を違反し、２３人が死亡する重大災害を誘発したという容疑が適用された。２０２２年２月にメイセル所属の派遣勤労者に身体一部切断事故が発生した当時、産業災害保険処理でなく「公傷処理」として合意金を支払い、産業災害調査票を提出しないなど産業災害発生事実を隠した疑い（産業安全保健法違反）も受ける。 アリセル総括本部長のパク・ジュンオン容疑者は２０２１年１２月から今年４月まで国防技術品質院の電池品質検査過程で受験用電池を入れ替えるなど品質保証検査業務を妨害した疑いを受ける。また２０２１年７月に華城市長の許可なく防火区画のための壁を任意に解体した疑い（建築法違反）もある。 検察は「防衛事業庁と電池納品契約を締結した後（電池）性能に問題が生じると、データ改ざんや試料電池すり替えなどの手法で国防技術品質院の品質検査業務を妨害した」とし「（犯行が）摘発された後にも人員を追加で投入して生産を強行し、生産に反対した担当者を懐柔しようとした」と指摘した。最小限の安全管理体系を構築していない状態で電池生産に没頭したというのが検察の説明だ。 このほか検察は無許可派遣会社のメイセルとハンシンダイヤを運営してアリセル電池製造工程に労働者を派遣した疑い（派遣法違反など）でチョン容疑者（４１）ら会社関係者６人を在宅起訴した。メイセルの実質的な経営者のチョン容疑者は２０２１年１１月から惨事が発生した６月２４日まで労働者３２０人をアリセルの直接生産工程に許可なく派遣した疑い（派遣法違反）だ。検察は人員を派遣した無許可派遣事業主や危険な作業を直接指示した事業主ともに派遣勤労者の安全には無関心だったとみている。 検察は今後の裁判の過程で捜査した検事らが公判チームを構成し、責任相応の刑が宣告されるようにする方針だ。法院行政処が国会法制司法委員会の朴智元（パク・ジウォン）共に民主党議員室に提出した資料によると、重大災害処罰法施行日の２０２２年１月２７日から先月末までに判決が言い渡された事件２３件のうち１６件は執行猶予、６件は罰金刑で、実刑は１件だけだった。 一方、京畿（キョンギ）南部警察庁アリセル火災捜査チームは、アリセル納品以前にエスコネクトが納品した時期にも軍納リチウム電池品質検査業務を妨害した容疑で拘束、送致されたパク・ジュンオン容疑者を含む計２４人を立件し、捜査中だ。