悪意ゼロの「老害」と上手につきあう2つのコツ、お互いに歩み寄れる「妥協点」は必ずあるはず
飲みに誘った部下がついてきてくれたことに気をよくし、「本当は早く帰りたいんだけど、お前のためだからしかたねーか(笑)」などと軽口をたたいている裏で、じつはあなたよりももっと早く帰りたがっている部下を引き留めてしまっている――この現実を理解しましょう。 若い世代の人たちと良好な関係を築き、「壁」を解消するためには、常識や社会構造の変化を受け入れる必要があります。 若い人たちも、年長者を「老害」と決めつけて、いっさい耳を貸す気がないわけではありません。押しつけがましくなく、納得のいくことであれば、ちゃんと話を聞いてくれるでしょう。
お互いに歩み寄り、妥協点を見いだしながら、うまく付き合っていくことを目指せば、状況は大きく改善するのではないでしょうか。 自分の周りにOさんのような高齢者がいる場合は、何より彼らに悪意はなく、100%善意でやっていることを理解しましょう。 結果的にズレが生じているだけで、若い人たちのことを思ってくれているのです。一生懸命になりすぎているだけなのです。 その大前提を念頭に置いたうえで、私は2つの対応策をご提案します。
まずは、周囲からの信頼が厚く、なおかつ発信力のあるキャラクターになること、もしくはそう思われるようにすること。これを目指してください。相手の老害力をダウンさせる効果があります。 会社で一定以上の役職に就いている人などは、同じ組織内で自分の悪い噂が流れることをとかく嫌います。信頼度も発信力も高い部下への接し方を誤り、ハラスメントがあったなどという話を広められたら、たまったものではありません。 そんなキャラと認識させることができたら、おそらく向こう(上司)のほうが距離を置いてくるはずです。飲みにも誘ってこなくなるでしょう。
■酔っ払いの「武勇伝」も受け入れてみる 続いておすすめするのは、いっそのこと面倒な相手の懐に入ってしまうという方法です。 その相手が自分の敵になり得るのなら話は変わってきますが、感覚のズレがあるだけで、全力で味方になってくれようとしているわけですからね。 その善意を全身全霊で受け入れて、仲良くなりすぎるくらいの関係を築くのも悪くはないでしょう。喧嘩をしたり、敵対したりするよりははるかにましです。 とことん聞き役に徹し、酔っぱらって同じ“武勇伝”が飛び出しても「それ、前にも聞きました」とは言わず、相手が違うと思うことを口にしても反論はせず、気持ちよくしゃべってもらいましょう。
「そのスタンスでいく」と決めたら意外にストレスは溜まらないものですし、相手の意外ないい面が新たに見えてくるかもしれません。“平和外交”で「壁」をなくすことができれば、まさに願ったり叶ったりではないでしょうか。
平松 類 :眼科医/医学博士