「露出しすぎ!」性的に過激だとして訴訟に発展したマリリン・モンロー像の移設が決定
問題となった彫刻は、アメリカの彫刻家、スワード・ジョンソン(1930-2020)が2011年に制作した《Forever Marilyn》。高さ約8メートルの巨大なマリリン・モンロー像で、モンローの1955年の主演映画『七年目の浮気』の地下鉄の風にスカートが舞い上がる有名なシーンがモチーフとなっている。この像は誕生以来オーストラリア、シカゴなどさまざまな場所を転々とし、2020年にパームスプリングスを拠点とするPSリゾーツが100万ドル(現在の為替で1億4700万円)で購入。2021年にパームスプリングス美術館前に設置された。 設置されるやいなや地元の人々は、マリリン像は裸の背中や下着が丸見えなことから、反フェミニズム的であり、子どもたちには性的に過激だと反発。また像が公道を占拠しているために車が乗り入れ出来ないといった問題も持ち上がった。 パームスプリングス美術館のルイス・グラコス常務理事も、「美術館から出てきて最初に目にするのは、背中全体と下着が露出したマリリン・モンローだ」と嘆き、2021年の市議会では「この由緒ある美術館に遠足に来た小学生たちは、スターの下着を見なければならなくなる」と訴えた。そして同年の後半に、ファッションデザイナーのトリナ・タークやモダニズムデザインのコレクター、クリス・メンラッドも参加する活動家グループ、CReMa(マリリン像移転委員会)が、パームスプリングス市に対して撤去を求める訴訟を起こした。 ロサンゼルス・タイムズ紙が報じたところによると、2024年7月25日にパームスプリングス市は、《Forever Marilyn》を美術館に隣接したダウンタウン・パーク内の「決定された場所」に移動させると発表した。この件についてジェフリー・バーンスタイン市長は同紙に、「市議会は、地元の多くの人々を分断してきたこの問題に対し、満足のいく解決策を見出すことができたことを非常に喜ばしく思っています」とコメントした。 《Forever Marilyn》の移転を市に働きかけるためのクラウドファンディングを行ってきたGoFundMeは、最新の投稿でこの発表に触れ、「細かい問題はまだたくさんあり、市と法的拘束力のある合意を取りまとめなければなりません。像が新しい場所に移されるまで、私たちは解決したとは思っていません」と慎重な姿勢を見せた。同団体はこれまでに11万5000ドル(約1700万円)以上の資金を集めている。
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