父が抱えた4000万円の借金…女性社長が振り返る人生の転機 「迷いはあった」
卒業を待たず、大学3年の秋に自主退学を決意
「とりあえず、働かないといけない」 そう考えた西さんでしたが、「突然、大学を退学して仕事を始めても、自分が本当に稼ぐことができるのかわからなかった」と、まずは1年間休学することになりました。 大学では工学部に在籍し、建築やデザインなどのものづくりを学んでいたという西さん。その流れから、学生時代はウェブ制作を行う会社でアルバイトをしていました。 休学した1年間は、「自分が社会の中で、どのくらい価値を見出せるのか、どのくらい稼いでいけるかをみたい」という思いで必死に仕事に打ち込みました。その結果、「ある程度、結果を残すことができて、“大卒”という肩書きがなくても、私は社会でやっていける」と自信を得ることができたといいます。 卒業するべきか、否か――。「正直、迷いはあった」ものの、大学3年間で十分に勉強した自負があった西さんは、退学を決意しました。 それは、「大学に行くことが目的なのではなく、大学で学んだことを活かした仕事がしたい」という思いがあったからだと振り返ります。相談に乗ってくれた教授も状況を理解してくれたそうです。西さんは、両親に退学することを伝えました。 「実は当時、住んでいた家を売ることにもなって、もう家を出ていかくてはいけなくなっていました。そうやっていろいろなものを手放して、状況や環境も変わってしまっていたので、退学することを両親に報告しても、両親は反対するわけでも、賛成するわけでもなく、ただ、『そっか』と私の決断を受け入れるだけでした」 大学3年生の秋、西さんは退学届を提出。アルバイトとして働いていた会社に、卒業を待たず、正社員として入社することになりました。 ◇西真央(にし・まお) 大学生のときに父親が連帯保証人となった借金のために、1年間の休学の末に大学を退学。アルバイトをしていたウェブ制作会社に正社員として入社し、デザインの仕事に従事。26歳のときに独立し、仲間たちと一緒に立ち上げたアプリ開発会社は初年度、「売上ゼロ」という窮地に陥ったが、受託開発を増やすことで会社を軌道に乗せることに成功。現在は、受託開発を行いながら、起業当時の「自社サービスのアプリを開発したい」という夢を実現している。
Hint-Pot編集部・出口夏奈子