新潟県警のプロボクサー滝沢栄吉 12・16後楽園ホールでデビュー「勝つべくして勝つ」
新潟県警の警察官でプロボクサーのバンタム級滝沢栄吉(24=大翔)のデビュー戦が12月16日、東京・後楽園ホールに決まった。矢野貴丸(25=角海老宝石)と契約体重53キロで4回戦を行う。異色の「二刀流」が目標の世界王座獲得に向けて1歩を踏み出す。 ◇ ◇ ◇ 緊張も不安もない。「デビュー戦の時期は予定通り」。滝沢は7月にプロテストに合格してから、しっかりと準備を整えてきた。相手の矢野は2戦2勝1KOのボクサーファイター。「動画で見た印象は攻めが主体」とイメージする。「出方によって戦い方を変える」。打ち合ってよし、離れてもよし、の特徴を発揮する自信をちらつかせる。 勤務外の時間はほぼボクシングに費やす。朝晩のロードワークなど週5日は体を動かす。所属する大翔ジムでは元日本王者で世界ランカーの嶋田雄大会長代行(53)の指導を受け、母校の開志学園や、中学まで通った五泉ジムに足を運んでスパーリングなど実戦練習を重ねてきた。 高校時代は全国大会に計8度出場した。日大1年時には全日本選手権で8強入りの実績がある。それでも「プロとアマではやはり違う。一発で決まる時もある」と油断はない。使用するグラブの重さは初体験の8オンス。大学時代の10オンスより軽い分、パンチを当てても、当てられてもダメージがある。嶋田会長代行からも接近戦の組み立てのアドバイスを受けた。 新潟県警察学校を卒業後の23年秋から柏崎署に勤務。「警察官とボクシングを両立する」と、全力で二兎(にと)を追う覚悟で、高校生のころからの夢だったプロボクサーを目指した。試合の報酬は犯罪被害者支援センターに寄付する。リングに上がるモチベーションは「やるからには世界を目指す」との思い。「デビュー戦、勝つべくして勝つ」と気を引き締めた。【斎藤慎一郎】 ◆滝沢栄吉(たきざわ・えいきち)2000年(平12)4月17日生まれ、新潟市出身。3歳から空手を習い、丸山小5年でボクシングを始める。大江山中では陸上部に所属もボクシングを続け、中3時に全日本UJ王座決定戦48キロ級に東日本代表で出場し準優勝。開志学園に進学し、県高校総体で史上初の3連覇を達成した。高校の全国大会には計8度出場し、3位が2回、ベスト8が5回。日大に進み、1年から関東大学リーグ戦に出場。4年時に副主将。165センチ。血液型B。