コンプラ問題からガチ恋勢への本音まで…『令和ロマン』が吠える「人気者を目指すのは恥ずかしい?」
タブー化する「見た目」という最強のつかみ ――芸人における見た目と笑いの相関関係については、どう思いますか。 くるま:僕は顎にヒアルロン酸を注入をしたんですけど、僕にとってこれはマイナスをゼロにする作業。印象が良くないものを普通にしているだけだからいいかなと思っているんですけど。これをプラスにするためにあれこれして印象が変わったら、お客さんの見方も変わるので面倒かなとは思う。 ケムリ:僕は容姿に関しては一切努力をしていないですね。僕が思うに、今の自分の喋り方って自分の見た目に合った喋り方なんですよ。小学生のときから僕はこういう体型で、容姿に合った喋り方でクラスの笑いをとってきた。その蓄積で今の自分のスタイルがある。見た目が変わったら僕は面白くないと思いますよ。 くるま:コロナ禍のとき、20キロくらい痩せてたけど、そのときはあんまりウケてなかったもんね。 ケムリ:やっぱりチューニングが狂っちゃうんですよ。 くるま:そこで言うと僕は容姿でとれる笑いがあんまりなくて。普通にやっていても印象に残らないし、ボケとわかりづらい。これはダメだなと思って、メガネをかけたり、髪型を変えたり、笑いやすい容姿に近づけるよう工夫はしています。 ――今は見た目で笑いをとることも難色を示される時代になりました。 くるま:劇場でネタをやっていても感じますよ。見た目に関する話になると、大丈夫かなってお客さんがソワソワするのが。 ケムリ:そういう空気を感じ取って、芸人側も見た目いじりは控えるみたいになってる。 くるま:その風潮自体はわかるけど、笑いという意味では難しいですよね。やっぱり見た目は第一ソース。そこにふれずにネタをするのって、自己紹介をしないまま話を進めるようなむずがゆさがあります。 〈「見た目とつかみ」の問題について語る、令和ロマンとマヂカルラブリー・野田クリスタル。詳細は上記動画をチェック(YouTube番組『売れたら垢抜けるってホント?』より)〉 ◆「お笑い」の良さは、誰でも語れること ――いろいろお話を聞いてきましたが、最後にお二人にとって「いいファン」とはどんなファンでしょうか。 ケムリ:僕はもう笑ってくれるなら、みんないいファンだと思いますけどね。 くるま:その上で強いて挙げるなら、やっぱりお金を出してくれるファンは大事。そこで区別するのは良くないという声もありますけど、実際問題、僕らが劇場に出るたびに全国どこでも来てくれるファンの方はいるわけで。自分の人生かけて応援してくれている人をなるべく大事にしたいと思うのは変じゃないと思います。 ――ブログやSNSで評論をしているお笑いファンもいますが、素人に評論されるのって嫌じゃないですか。 くるま:僕は別に嫌じゃないですよ。むしろそれができるところがお笑いの良さ。僕もお客さんが書いてくれたブログとか読みますしね。 ケムリ:読むんだ。 くるま:読む読む。中には「この人、マジで正しいこと言ってるわ」というのもあるし。そういうのを見ると興奮する。読まない? ケムリ:読まない。僕は評論ができないから、読んだところで何を書いてるのかわからない。 くるま:文字化けしてるかと思っちゃう(笑)。 ケムリ:だから、何を書かれていても全然気にしないです(笑)。 取材・文:横川 良明 983年生まれ。大阪府出身。テレビドラマから映画、演劇までエンタメに関するインタビュー、コラムを幅広く手がける。著書に『人類にとって「推し」とは何なのか、イケメン俳優オタクの僕が本気出して考えてみた』(サンマーク出版)、『役者たちの現在地』(KADOKAWA)、『自分が嫌いなまま生きていってもいいですか?』(講談社)がある
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