コンプラ問題からガチ恋勢への本音まで…『令和ロマン』が吠える「人気者を目指すのは恥ずかしい?」
「ネタ」に加え「ストーリー」が消費される時代に ――賞レースといえば、昨今はM-1優勝までのストーリーがコンテンツ化されていて。そのストーリーがドラマティックであればあるほどファンが増える印象があります。そんなふうにネタ以外のストーリーで支持されることについてはどう思いますか。 ケムリ:そういうストーリー消費的な部分は、全芸人が勝手に背負わされているものかもしれないです。みんな賞レースには出るから。 くるま:賞レースの運営側もそれを主導しているしね。でもその方が絶対いいと思いますよ。今の推し活ブームと同じことで。勝ち上がるというストーリーごと一緒に体験できる方が応援する側もやっぱり盛り上がるし。 ――そこに芸人さん側がしんどさを感じていないか心配です。 くるま:僕は特にすり減ってる感じはしないです。なぜかと言うと、無理をしてないから。 ケムリ:そうそう。周りが勝手にそう見ているだけで、自分たちがそこに乗っかって何かをしているわけじゃないから。 くるま:もともとないものをわざわざ作ると大変なんですよね。それが消費されて減ったら、また継ぎ足さなきゃって必死になるので。でも、僕たちは何も作ってない。ありのままの状態を評価されているだけだから、特に苦労はないです。 ◆結婚すると集客が減る?「ワーキャー」「リアコ」への本音 ――芸人と人気の話になると、「ワーキャー」の存在がよく話題にのぼりますが。 くるま:実はその言葉にあんまり実感がないんですよね。僕の感覚値でいうと、そういうことを言ってるのは、もともとお笑いが文化として根づいている大阪の人か、僕らより上の世代くらい。僕らがやっている神保町(神保町よしもと漫才劇場)で、そういうことを言ったり、下に見る文化はないかなあ。 ケムリ:むしろいいお客さんだよね。それに芸人からすると、マジで関係ないです。自分たちは目の前のお客さんを笑わせるだけで。 くるま:そう思う。もちろんこの芸人さんがカッコいいという感じで来てくれるファンの方もいますけど、そういう人って他の芸人のネタもちゃんと全部見てるんですよね。で、よく来てるからネタの流れもわかってて、ちゃんと笑いどころで笑ってくれる。ただの温かいお客さんです(笑)。 ――僕は大阪出身ですが、確かに大阪には若い女性からチヤホヤされている芸人さんを下に見るような文化はあった気がします。 くるま:それも結局めっちゃ売れてる人の話ですよね。ネタにアクセスされなくても、人気が出るということですから。よほど人気者でないと。東京で言うと、そこまでの現象が起きたのは、EXITさんとか? でも、EXITさんって本当すごいですよ。兼近(大樹)さんとか、どれだけ劇場の前にファンが並んでいても、ありがとうって明るく対応してる。 ケムリ:ネガティブなことを言わないしね。 くるま:そのパワーに吸い寄せられて、EXITさんの存在に心から救われている人もいっぱいいるしね。あれはもう「ワーキャー」を超えた次元の話。たぶんファンの方の中にもいると思うんですよ、自分たちが「ワーキャー」と言われることに対して恥ずかしいと思っている方たちが。その抑圧から解放してくれたのがEXITさんなのかなと。 ――「ワーキャー」が転じて「リアコ」(「リアルに恋してる」状態のファンを指す)になるケースもありそうです。 くるま:尊敬と恋愛感情がごっちゃになることは、ある程度しょうがないですよね。芸人が結婚すると集客が減るのは、永遠の課題です。 ケムリ:僕はうれしいですけどね、リアコされるのが。 くるま:なんでだよ。 ケムリ:リアコ大歓迎って書いておいてください(笑)。