「配信があって幸せだ」英国人記者は“異例の7大世界戦+那須川天心”をどう見た?「中谷、堤は見事だったが私の目を引いたのは…」
10月13、14日に有明アリーナで2日間にわたって行われた“7大世界戦+1”では、前編でフィーチャーしたWBC世界バンタム級王者・中谷潤人(M.T)以外にも多くの選手が躍動した。 【衝撃写真】「強すぎるでしょ…」中谷潤人のエグい左が顔面をとらえた決定的瞬間「あ、アコが砕けそう…」肩車されるカワイイ拳四朗、血だらけでも映える天心、堤vs拓真“アツすぎる激闘”など異例の2日間興行を全部見る(全100枚超) なかでも14日のセミファイナルに登場した那須川天心(帝拳)への注目度は今回も高かった。ジェルウィン・アシロ(フィリピン)戦での判定勝ちでWBOアジアパシフィックバンタム級新王者となり、プロボクサーとして初のタイトルを獲得した那須川は世界戦線へと大きく前進したと言えるのか。また、中谷潤人対CPフレッシュマート(タイ)、井上拓真(大橋)対堤聖也(角海老宝石)以外の世界タイトル戦で大きな輝きを放った選手は誰だったのか。 大イベント終了後、リングマガジンの元編集人であり、現在はスポーティングニュースで健筆を振るう英国人ライター、トム・グレイ氏に意見を求めた。グレイ氏は軽量級、アジアのボクシングにも精通しており、その言葉には常に説得力がある。 【以下、グレイ氏の一人語り/全2回の2回目、前編も公開中】
「キックボクサー時代からの癖かもしれないが」
中谷のタイトル戦のアンダーで行われた那須川対アシロ戦はじっくりと見させてもらいました。7月の試合での那須川の見事なKO勝ちを私は高く評価していましたが、今戦の出来も良かったとは思います。無敗の戦績とシャープなパンチを持ったアシロは勝つつもりでリングに立っており、そんな選手とフルラウンドを戦ったことはキャリアの中で意味を持つ経験になったことでしょう。 ひとつだけ気になったのは、那須川のヘッドムーブメントが十分ではなかったこと。パンチを出す前も、出した後も、頭はほぼ動かないままでした。キックボクサー時代からの癖なのかもしれませんが、その点は田中恒成とも共通点があります。那須川もパンチを浴びることはあるだけに、このままのスタイルを続けた場合、より攻撃力のある強豪との戦いの際には弊害になるかもしれません。 ただ、その点以外、これまでも示して来た那須川の長所にはアシロ戦でも感心させられました。コンビネーションは見事なまでに飛翔しますし、ジャブも上質。フットワークも優れていたように思います。このフットワークについてくる選手と対戦した際、前述したヘッドムーブメントの乏しさが問題になるのかもしれませんが、少なくとも現状では他にマイナス要因として指摘できるような部分は見当たりませんでした。 ここまで見る限り、那須川はビッグパンチャーではないとしても、コンビネーションパンチには相手にダメージを与えるだけの威力があると見ます。最後まで激しく動き続けられるのを見ても、エンジン(=スタミナ)も優れているようです。戦いの場を12ラウンズのチャンピオンシップレベルに移しても、判定で多くの勝ち星を得られるでしょう。 井上尚弥の弟、拓真が証明した通り、強打者ではなくとも世界の舞台でハイレベルに戦うことは可能です。那須川は優れた才能を持ったサウスポーであり、今後もコンビネーションパンチャーとして成長していくのではないでしょうか。
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