伊達政宗ゆかりの北限のお茶に、「日本茶文化の未来」を見つけた
夏も近づく百八夜
「夏も近づく八十八夜~」の懐かしい歌にもあるが、一般的に日本の多くの地域では茶摘みは立春から数えて88日目頃に行う(今年は5月2日)。少し寒い鹿島茶園では、3週間ほど遅れて「夏も近づく百八夜」に茶摘みが始まる。 お茶の葉は摘んだ瞬間から酸化が始まるため、すぐに低温倉庫に入れ、その日のうちに蒸して発酵を止める。揉捻し、乾燥させれば香しい北限のお茶「伊達茶」の完成だ。 佐々木さんの鹿島茶園で生産されたお茶から作られる「伊達茶」は、生産量が少ないこともあって、矢部園のみで手に入れることができる稀少なお茶だ。特にシーズン最初に手摘みされ、6月の2週目頃から矢部園で販売される限定の新茶のファンは多く、予約はすぐにいっぱいになってしまうそうだ。 販路を広げず、塩竃の店舗とホームページでの販売のみとしている矢部園のお茶だが、ペットボトル版の「伊達茶」がJR塩釜駅でも販売されている。桃生の鹿島茶園の一番茶葉100%使用の数量限定品で、ペットボトルのお茶としては生産農家が表示できる唯一のペットボトル商品だ。 厳しい寒さに耐え、愛情を注いで作られた北限のお茶。塩竃を訪れる際には、是非一度、味わって頂きたい。ああ、これがお茶というものなのだと、あらためて感動を覚えるはずだ。 (取材・文・撮影:平松温子)