立大が箱根駅伝事業「フェーズ2」を発表 目標はシード権獲得 長嶋茂雄終身名誉監督も激励メッセージ
立大は11日、東京・池袋のホテルで創立150周年記念祝賀会を行い、2018年に始まった「立教箱根駅伝2024」事業の「フェーズ2」(第2段階)としてシード権(10位以内)獲得を目指すことを発表した。 同事業は、今年1月の第100回箱根駅伝で1968年以来の復活出場を目指して6年前にスタートしたが、1年前倒しで2023年の第99回大会で目標を達成。今年は2年連続で本戦出場を果たした。西原廉太総長(61)は「ここで終えるわけにはいきません。フェーズ2を開始し、シード権の獲得を目指します」と高らかに宣言した。今年4月に就任した高林祐介新監督(36)は「シード権を獲得できるポテンシャルはあります。ただ、目標達成のために厳しい部分もある。やるのは選手です。選手たちは昨季からシード権獲得を目標にしていますので、指導者としてかなえてあげられるようにしたい」と表情を引き締めて話した。 立大は2018年11月に、2024年の創立150周年記念事業として「立教箱根駅伝2024」をたち上げ、男子駅伝チームの強化を開始。中大やエスビー食品などで活躍した上野裕一郎前監督(38)=現ひらまつ病院=を招へいした。それまで予選会では30位前後を推移していたが「日本一速い監督」の異名を持つ上野前監督は選手と時には一緒に走るという独自の指導スタイルでチームを強化し、年々、成績は向上。昨年1月の第99回箱根駅伝で大会史上最長ブランクの55年ぶりの復活出場を果たした。しかし、その立役者だった上野前監督は不適切な行動を取ったとして昨年10月の第100回箱根駅伝予選会の直前に解任された。今年の第100回箱根駅伝では原田昭夫総監督(68)が代理監督を務め、学生主体で臨んだ。難しい状況でも、第99回大会の18位を超える14位と健闘した。 後任として、駒大コーチを務めていた高林監督が4月1日に就任。駒大時代に箱根駅伝などで活躍した高林監督は卒業後はトヨタ自動車に入社し、2011年の全日本実業団駅伝(ニューイヤー駅伝)では初優勝メンバーに名を連ねた。2016年に現役を引退し、2022年に母校の駒大コーチに就任。大八木弘明総監督(65)と藤田敦史監督(47)をサポートし、この2年間で学生3大駅伝6戦5勝に貢献した。コーチ業と並行し、早大大学院スポーツ科学研究科で、最新のスポーツ科学を学び、今春、修了した。 チームを指導し、1か月が過ぎ、高林監督は確かな手応えを感じている。「就任した当初から学生は『僕たちは主体性のあるチームです』と言っていました。実際、彼らは約半年間も指導者がいない中、学生主体でしっかりとチームを運営してきた。主体性は秀でています。彼らのいいところを伸ばしたい」と指揮官は話す。 安藤圭佑主将(4年)も「昨年からチームは大きく変わりました。練習メニューも変わりました。その中で、高林監督は学生の意見を聞いてくれます。今、チームは着々と力をつけています」と充実した表情で話した。今季のチーム目標として、箱根駅伝でシード権獲得に加え、全日本大学駅伝(11月)の初出場を掲げる。全日本大学駅伝関東選考会(6月23日)に向けて、チームの士気は上がっている。 この日の祝賀会では立大が誇るOBの巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(88)=報知新聞社客員=の激励メッセージをフリーアナウンサーの徳光和夫さん(83)が代読した。 「私は現在も野球の面白さをもっと広げたいと思っています。野球以外のスポーツも大歓迎です。箱根駅伝も毎年、楽しみに観戦しています。立教大学が創立150年を新たな出発点として箱根駅伝でも活躍してください。長嶋茂雄」などと徳光さんが読み上げると、会場は大きく沸いた。 立大アスリートの大先輩の激励に安藤は「長嶋さんの応援は、とても、うれしいです。多くのOB、OG、先生方、学生の皆さんの期待に応えられるように頑張ります」と意欲的に話した。高林監督は「身が引き締まる思いです。長嶋さんをはじめ、大学として多くの方々が応援してくれています。学生には感謝の気持ちを強く持ってほしい」と言葉に力を込めて話した。 祝賀会に参加した約900人の前で、高林監督は「これまで濃い紫のチーム(駒大)にいましたが、これからは(立大の)江戸紫のチームで頑張ります。(監督就任という)チャンスをいただいたので、結果で恩返しをしたい」と決意表明。立大は第101回箱根駅伝に向けて、新たなる挑戦を始めている。 ◆立大 1920年に陸上競技部創部。箱根駅伝には1934年に初出場し、1957年に最高の3位になった。1968年を最後に箱根路から遠ざかっていたが、2023年に大会史上最長ブランクとなる55年ぶりの復活出場を果たした。出雲駅伝、全日本大学はともに出場経験なし。タスキの色は江戸紫。陸上競技部OBは1936年ベルリン五輪男子800メートル代表の青地球磨男氏、2016年リオ五輪と2021年東京五輪女子競歩代表の岡田久美子ら。
報知新聞社