ビヨンセ、カントリー・ミュージック・アワードにノミネートされず 主催者側の人種差別が指摘される
今年3月にリリースされたビヨンセの通算8作目のアルバム『カウボーイ・カーター』。ビヨンセが初めてカントリー音楽に特化して制作したアルバムとしてリリース前から大注目を集めたが、リリースと同時に大ヒット。全米アルバム・チャート初登場1位を獲得しただけでなく、全米カントリー・アルバム・チャートではアフリカ系女性として史上初の1位に輝くという歴史的快挙を達成した。全米シングルチャートにはアルバム収録曲27曲のうち23曲がランクイン。トップ10にアルバムのリードシングル「Texas Hold ‘Em」のほかに「II Most Wanted」「Jolene」が入った。またこのアルバムにはビヨンセがアフリカ系のカントリーミュージシャン、シャブージーとコラボした楽曲「Sweet ★ Honey ★ Buckiin'」なども収録されている。アルバムの大ヒットでシャブージーへの注目度と人気も急上昇した。 【写真】おしゃれ歌姫ビヨンセの誕生から最新ファッションまでの変遷ストーリー
当然カントリーミュージック界最大の賞といわれるカントリーミュージック協会賞(CMAアワード)の候補になると見られていたが、驚きの事態が起きた。今週初めに発表されたノミネーションリストにビヨンセの名前は皆無。『カウボーイ・カーター』も「Texas Hold ‘Em」もまったく候補に上がらなかった。
ビヨンセを無視するようなノミネーションリストに、ファンの多くから疑問や怒りの声が上がっている。一部のファンは近年だけを見ても全米カントリー・アルバム・チャートの1位を獲得しているのにCMAアワードにノミネートされなかったアルバムはなかったと指摘している。カントリーミュージックのアーティストがこれまで白人主流だったことから、人種差別だと賞を主催する協会を批判するファンも少なくない。
カントリーミュージック界がこのアルバムを冷遇していることは、これまでも報じられてきた。例えばカントリーミュージック専門のラジオKYKCはリクエストが来ているにもかかわらず『カウボーイ・カーター』の収録曲を放送することを拒否。「私たちはカントリーミュージックの局なのでビヨンセは流さない」とリクエストしたファンに断るメールを送りつけた。ファンがSNSにこのメールを投稿したのをきっかけに「人種差別だ」というコメントが局に殺到。結局KYKCは収録曲を放送することになった。ここまで大きな騒ぎにはならなかったが、他のラジオ局も彼女の曲をかけないようにしていたのではないかと見られている。「Texas Hold 'Em」はシングルチャートで高い順位にエントリーしているが、同じくビルボードが出している、ラジオで放送された回数に基づくカントリー・エアプレイチャートでは33位に終わっている。
今年最多ノミネートを獲得したのは白人男性のモーガン・ウォーレン。ちなみに彼は以前、Nワードを使っている動画が流出し、謝罪する騒ぎを起こしている。今回のノミネーションに対してCMAもビヨンセもまだ何もコメントしていない。