「40歳のオッサンが頑張っているのに」 町田の練習場に黒田監督のゲキ…3368日ぶり一撃で呼ぶ奮起
「町田らしさを取り戻せた」リーグ戦でも40歳の躍動がカギ
前線からのプレスを含めて、沈滞気味だった町田をがむしゃらに鼓舞し続けた代償だと中島は笑う。それでも、中島の先制点の4分後にMF下田北斗が追加点を奪い、迎えた後半は無得点に終わったものの、新潟より2本多い7本のシュートを放って手にした白星の価値を中島はこう語った。 「この勝利で町田らしさを取り戻せたというか、チームを再びひとつにするきっかけにもなると思う」 天皇杯でも筑波大の前に初戦で敗退した今シーズンの町田にとって、残された戦いはリーグ戦だけとなる。代表ウイークで中断する前の一戦で、浦和レッズと2-2で引き分けた町田は広島に勝ち点55で並ばれ、得失点差で4ポイント差をつけられた2位へ後退している。中島が続ける。 「今日みたいに全員がハードワークして守って、セカンドボールを拾って、といった戦いができれば、残り9試合でも勝ち点を積み重ねていける。リーグ戦に集中できる分だけ、優勝できるチャンスがあると思っている」 週末に再開されるリーグ戦で、町田は14日に福岡のホーム、ベスト電器スタジアムに乗り込む。中島は福岡相手にJ2を含めたリーグ戦23試合で11ゴールをマーク。町田に限れば8試合で5ゴールを量産していて、2017年4月には敵地で後半42分、45分、50分とわずか8分間でハットトリックを達成した。 「相性はいいと思うので、はい」 験のいいスタジアムでの一戦へ、中島は穏やかな笑顔を浮かべてスタジアムを後にした。オーストラリア代表ミッチェル・デューク、韓国代表オ・セフンがアジア最終予選を終えて復帰する一方で、藤尾の出場停止処分が持ち越され、荒木駿太も負傷離脱とFW陣を欠いて迎える福岡戦。再び存在感がクローズアップされてくる大ベテランの手には、試合後に鈴木と交換した新潟のユニフォームが握られていた。 [著者プロフィール] 藤江直人(ふじえ・なおと)/1964年、東京都渋谷区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後に産経新聞社に入社。サンケイスポーツでJリーグ発足前後のサッカー、バルセロナ及びアトランタ両夏季五輪特派員、米ニューヨーク駐在員、角川書店と共同編集で出版されたスポーツ雑誌「Sports Yeah!」編集部勤務などを経て07年からフリーに転身。サッカーを中心に幅広くスポーツの取材を行っている。サッカーのワールドカップは22年のカタール大会を含めて4大会を取材した。
(藤江直人 / Fujie Naoto)