ボルティモアで大型橋崩落、貨物船衝突-米大統領は早期再建を表明
(ブルームバーグ): 米メリーランド州ボルティモアの大型連絡橋が、デンマークの海運大手APモラー・マースクがチャーターしたコンテナ船に衝突されて崩落した。バイデン米大統領は同日午後、橋の再建費用を政府が負担すると表明。議会に承認を訴えた。
事故が起きたのは現地時間26日未明。消防当局によると、現場で2人が救助された。そのうち1人は重傷だという。7人が水中に落下したとみられるという。
ビデオ映像によると、コンテナ船は橋に衝突する直前にほぼ全ての照明が消えていた。メリーランド州運輸当局責任者は朝方の記者会見で、停電が事故原因だと断定するのは尚早だと述べた。
この事故は海上と陸上の交通を大混乱に陥れる公算が大きい。商船はこの連絡橋「フランシス・スコット・キー・ブリッジ」を通過し、全米でも特に混雑が激しいボルティモア港に入港する。連絡橋はまた、ボルティモアを取り囲むように走る主要環状道路にもつながっている。
バイデン大統領はホワイトハウスで記者団に話し、できるだけ早い港の再開に向けて「あらん限りの力で」取り組むよう関係当局に指示したと述べた。衝突はあらゆる情報から「悲惨な事故だったことが示唆される」とし、「意図のある行為」ではないとも述べた。
コンテナ船
衝突したコンテナ船はシンガポール船籍の「ダリ」で、2015年に建造された。マースクは同社がチャーターし、船舶管理サービス会社シナジー・マリンが運航していたと電子メールで説明。シナジーのロンドン広報担当者は、3万2000トンのダリは当時、4900個前後のコンテナを積んでいたと明らかにした。
この発表を受けて、マースクの株価は急落。一時7.6%安となった。
ボルティモア港は貨物取り扱いの量と金額で全米最大級で、自動車と軽商用車は米国でトップ。崩落した橋の西側には少なくとも21隻の船が位置していた。このうちほぼ半数はえい航船で少なくとも3隻がばら積み貨物船、1隻は自動車運搬船で、小型タンカーも1隻あった。