さいとう・たかを ゴルゴ13「顔つきどんどん変わってる」
「私はこの仕事しかないと思ってずっとやってた」
さいとう氏は囲み会見で、50年間続いた理由を記者に聞かれこう答えた。 「私はこの仕事しかないと思ってずっとやってましたから、お百姓さんが米をつくるのを飽きたなんていうのはおかしな話ですから。ただ、私はその時代の常識とか観念とか、そういうものにとらわれないように描いてきた。その時代その時代で正義とかいうのは変わってくるでしょ。それがなんとか読んで頂けた理由じゃないでしょうか」 だが「絵(ゴルゴの顔つき)はどんどん変わってますね。若いときに描いてるのは迫力あります。その変遷はあまり見て欲しくないけど」と苦笑しながら話していた。 また、これまで最も辛かったのは?との質問に対しては「辛かったという言い方をするんだったら、私とこは組織でやってますんでね、私はアシスタントとは呼んでいない、あくまでスタッフ。その形の中で、周りで仕事を切られている人たちを見ているとね、もしこれ、切られたらどうしよう、どうやって食わそう、それを考えた時は辛かったですね」と述べ、連載打ち切りがたびたび夢にも現れたという。 「ありがたいことにそういう目に遭ったことがないでしょ。よけいに恐怖感があったんです。来月で終わってくれって言われてもね、どうしてスタッフを食わすんだって…。最近、さすがに夢は見なくなりましたね」と続けた。
気になるゴルゴの結末は?
気になるゴルゴの結末については、よく聞かれるそうだが、すでに決まっているという。 「結末については考えています。最後の話を自分で頭でこしらえているんですよ。コマ割りから台詞から見事に頭の中に残ってますね。ただ、なぜここまで続いたか、ラストの話を自分でこしらえているから、いくら描いても、挿話なんですよ。間に挟み込んでいるだけなんです」と話す。 そして最後に「今後も、ここまで来た限りはやれる限りは連載を続けたいと思います」と締めくくった。 (文責/フリーライター・北代靖典)