「ナンピン買い」+「割安株投資」コツコツ積み上げ〝億り人〟に…堅実会社員が到達した『成功の法則』
「当時の株式の売買単位は、ほとんどの銘柄が1000株で50万円では手が出なかったんです。そこで、大和証券が始めたばかりの『ミニ株』にしました。通常の売買単位となる単元株数の10分の1から取引できるサービスで、100株ずつ買ったわけです」(なごちょう氏/以下同) その後、社会人となったなごちょう氏は、他の銘柄に新規投資するとともに、学生時代に買った富士通や東芝といった銘柄を単元株数の1000株にするため、ミニ株で継続的に追加購入をしていったという。 「その頃は、投資する銘柄の基準などは決めておらず、今にして思えば、良さそうな株をなんとなく買う、という感じでした。 それでも、1997年のアジア通貨危機や’01年のITバブル崩壊、米国同時多発テロなどで、何度も株式市場は大きく値を下げましたが、暴落が起きるたびに〝ナンピン買い〟を入れたりして、結果的に、暴落後の相場の戻りで含み益を得ることができました。’02年頃は、200万円ほどの元手が600万円くらいには増えていましたね」 買った銘柄の株価が下がったときに同じ銘柄を買い増す「ナンピン買い」は、取得単価の平均を下げることができる。例えば、今、1000円の株が800円に下がったときに、現在の単元株数である100株を追加購入すると平均取得単価は900円になる。株価が900円を超えれば200株分の含み益が発生することになる。 ◆「ナンピン買い」をビギナーがやってはいけない理由 だが、ナンピン買いは、株式投資ビギナーは基本的にNG行為とされている。上手くいけば損失が利益に転じることもあるが、失敗すれば傷口はさらに広がる。株価が戻らずズルズルと下がり続ければ、含み損の状態で長期間保有する〝塩漬け株〟となってしまう。 行動経済学によると、人は、利益を得る喜びと比べて、損失で受ける苦痛を2倍以上強く感じてしまう性質があるという。そのため、買った株で損失が発生しても、その損失の確定を先延ばしにする傾向が強い(=損失回避性)。本来、こうした人の感情のバイアスを排除して、株を持ち続けるかどうか冷静に判断をすることが重要である、というわけだ。 買った株が下がったということは、その株に投資した理由にどこか誤りがあった可能性が高い。だが、単に株式市場全体の動きに影響されただけなら、ナンピン買いをしてもいいかもしれない――たしかに、そうした判断はビギナーには難しいだろう。だが、株を始めたときから、ミニ株で100株ずつ投資していた、なごちょう氏には、自然とナンピン買いのノウハウが備わったのかもしれない。 「暴落が起きたときは、一度ではなく、何回かに分けてナンピン買いを入れます。こうすると、底値近辺で拾える可能性が高くなる。そのためには、追加投資できる資金を事前に確保しておく必要があります。 また前提として、ナンピン買いをする株の業績はチェックします。業績が順調で予想も変わっていなければ、株式相場の戻りに合わせて、その銘柄も反転する可能性が高いといえます」 そんな、なごちょう氏に転機が訪れる。’02年からの日本株の暴落だ。’03年4月末、日経平均株価は20年ぶりの7000円台を記録した……。 「損失がどんどん膨らみ続けて……ひどい状況になりました。株式投資の勉強を基本からやり直さないとダメだと痛感しました」 ■なごちょう氏はこの局面をどのように切り抜け、〝億り人〟となったのか? 「割安株投資」の具体的な手法とは? そこから導き出される「注目銘柄」は……。実銘柄公開の全文は、有料版【FRIDAYサブスク】でお読みいただけます。 取材・文:松岡賢治 マネーライター、ファイナンシャルプランナー/証券会社のマーケットアナリストを経て、1996年に独立。ビジネス誌や経済誌を中心に金融、資産運用の記事を執筆。著書に『ロボアドバイザー投資1年目の教科書』『豊富な図解でよくわかる! キャッシュレス決済で絶対得する本 』。
FRIDAYデジタル